米WTI原油先物価格(原油価格)は今週に入り、1バレル=96ドルから114ドルの間で推移している。トランプ米大統領の発言を受けて原油価格が乱高下する展開が続いている。

 米国・イスラエルとイランの間の戦争(中東戦争)のせいで3月の原油価格は月間ベースで34.4ドル(51%超)上昇した。上昇幅は原油先物が上場された1983年以降最大だった。

 まず中東戦争が世界の原油供給に与える影響についてみてみたい。

サウジアラビアは紅海からの輸出に躍起

 ロイターは3月31日「石油輸出国機構(OPEC)の3月の原油生産量が前月比で日量730万バレル減の同2157万バレルと、コロナ禍の2020年6月以来の低水準になった」と報じた。ロイターはロンドン証券取引所のデータや調査企業ケプラー、OPECなどの提供情報に基づき分析したとしている。

(写真:usmostock/Shutterstock.com)

 それによれば、最も生産量が落ち込んだのはイラクで、2月の日量415万バレルから同140万バレルまで減少した。ホルムズ海峡を通らない輸出ルートを持つサウジアラビアの減産は日量約200万バレル、アラブ首長国連邦(UAE)は同156万バレルだ。

 一方、ベネズエラとナイジェリアの原油生産量は増加した。

 3月の平均出荷量が日量333万バレルに減少した(タンカー追跡データによる)サウジアラビアは紅海側からの原油輸出に躍起となっている。

 ロイターは30日「ヤンブー港からの先週の原油輸出量が日量460万バレルと、同港の最大輸出能力(同500万バレル)に近い水準まで増加したことが船舶データなどで判明した」と報じた。ケプラーによれば、同港からの輸出の8割以上がアジア向けだ。

 国内東部の巨大油田地帯から紅海沿岸までアラビア半島を横断するパイプラインは全長約1200キロメートル、1980年代のイラン・イラク戦争という過去の紛争を機に整備されたものだ。サウジアラビアは開戦直後に緊急対応計画を発表し、パイプラインによる原油輸送を急拡大させたことが功を奏した形だ。

 だが、紅海からの原油輸出も盤石ではない。

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