清水区日の出地区。ここに海洋文化施設の建設予定地はあります。当初の計画では4月オープンするはずでしたが、今も更地のまま手つかずの状態です。

(静岡市 難波市長)
「唯一進んでいないのは海洋ミュージアム。採算がとれない事業をやるわけにはいかない」

今から約10年前の2017年。田辺前市長の「肝いり事業」としてスタートした「海洋文化施設」。

5階建ての建物に水量1700トンという国内トップレベルの大型水槽を備え、「清水を観光拠点として発展させよう」というビジョンのもとプロジェクトが立ち上がりました。

2023年に、市と事業者グループが契約を締結したところまでは順調に見えたものの…その直後。2024年に新たな市のリーダーに就任した難波市長が「展示内容を見直す」方針を示したほか、業務の一部を委託する予定だった東海大との交渉が決裂するなど、事業の進捗が不安視されていました。

さらに近年の物価高による建設費の大幅な高騰が直撃し計画は一気に暗礁に乗り上げることに…。

当初の試算では建設費94億円でしたが、さらに70億円以上かかることが明らかになり、「計画の見直し」を余儀なくされたのです。

そして、きょう31日…。

(静岡市 難波市長)
「市は事業者の回答内容を検討して業務継続が出来ないと判断して、本事業についてSPC(事業者)との契約解消に向けた協議を進めることを決定しました」

市と事業者による協議の結果、出た結論は事実上の”計画白紙”。”利益が出にくい事業”のため「建設費高騰への対応が困難な契約構造になっている」と、契約白紙に至った理由を説明しました。

(静岡市 難波市長)
「(建設費高騰で)事業者の負担分が約35億円増えてそれを事業
者が負担しないといけないが。入館料収入などでもうけてそ
の利益を割り当てるしかない。ところがもともとそんなに利益が出
る事業になっていないからこそ、運営費を市が負担することになっている。だから入館料収入を上げて事業者が35億円も15年間の運
営で出せるほどの事業構造にはなっていない」

また、建設予定だった土地の今後の活用については、「まずは事業者との契約解消を進める」と話し、言及を避けました。

(静岡市 難波市長)
「まずは契約解消が整えることが大事。その後に次のことを考える」

計画が白紙になる中もう一つ、気になるのが海洋文化施設の建設予定地の真横に建設予定の民間観光施設「体感型水族館ZooZooSea」の行方です。

河津町で「iZoo」「KawaZoo」南伊豆町で「波勝崎モンキーベイ」などの施設を運営している、静岡市の企業「レップジャパン」がオープンに向けて計画を進めています。

“2つの水族館”による相乗効果も期待されていましたが、市の計画が白紙になったことについてレップジャパンの白輪剛史社長は…。

(レップジャパン 白輪 剛史 社長)
「静岡市が計画を見直すことになっても『ZOO ZOO SEA』は図面もできているし、建設の方向で動いている中で仮に単体であっても十分収益性はあるし。このままどうなるか分かりませんが、『ZOO ZOO SEA』は変化なく建設していく。真横の施設がどういうものになるかは関心を持って対応していかなくてはいけないし、そこに何らかの関わりを持って盛り上げていくことが出来るのであれば、そこは本当に前向きに考えていきたい」

市のプロジェクトが振り出しに戻った一方で、「ZooZooSea」の計画は現在順調に進んでいるということです。

(レップジャパン 白輪 剛史 社長)
「まだ建設自体が始まっていないので、いつまでとは言えないが、私は2年半から3年の間でオープンしたいなと思っています」

清水の港エリアで期待されていた観光の目玉となる計画白紙の理由、今後の新たなビジョンとは…。

(スタジオ)
(澤井 志帆 キャスター)
今後どうなっていくのか注目が集まっているんですけれども、当初の計画では4月オープン予定だった海洋文化施設なんですが、結果的に現在の計画は白紙となってしまいました。予定では5階建ての建物に、水量1,700トンという国内トップレベルの大型水槽を備えた水族館と博物館が融合したような施設を計画していたんですが、まず藤井さん、率直にこの計画自体どう思われます?

(コメンテーター news zero メインキャスター 藤井 貴彦氏)
私、神奈川県出身なんでね、「江ノ島水族館」というのは頭に思い浮かべるんですけど、津川さん、「江ノ島水族館」を超える規模だったってことなんですよね。

(津川 祥吾 アンカー)
私も「江ノ島水族館」に行って、あの大きい水槽は非常に感動しましたよ。それより大きいっていったら、ちょっとなかなかインパクトあるなとは思いますけどね。

(澤井 志帆 キャスター)
1,700トンですからね。

(コメンテーター news zero メインキャスター 藤井 貴彦氏)
なのに、なぜ白紙になったのか教えてください。

(澤井 志帆 キャスター)
では、きょうのハテナはこちらです。およそ10年前から進めてきた計画が、なぜ白紙になったのか、詳しく見ていきます。

計画が迷走した理由は大きく分けてこちら2つあります。まず1つが建設費の高騰、そして東海大学との協議難航です。詳しく見ていきますと、建設費は物価の高騰で、当初の計画より、およそ70億円も増大しました。また、2023年に閉館した清水区三保の水族館を運営していたこの東海大に、水生生物の維持管理をお願いしていたんですが、東海大が辞退したことで、運営部分での前提が崩れたことも挙げられます。また、この東海大との協議に時間がかかり、さらに物価が高騰してしまったという、こういった背景があるんですよね。難波市長は計画白紙の理由について、建設費高騰分およそ70億円の負担調整が市と事業者との間で折り合わず…ということを挙げています。市は、およそ32億円まで追加負担できると提示したんですが…、事業者は市の追加できる金額では事業の継続は不可能と回答しまして、市としても事業の継続はできないと判断しました。藤井さん、この建設費の高騰というのが、結構大きな理由になりそうですよね。

(コメンテーター news zero メインキャスター 藤井 貴彦氏)
建設費の高騰分70億円の負担調整ということで、かなり額が大きいんですけれども、水族館というのは、動物の生物の命を預かるところで…、「じゃあやっぱりもうかりませんから、すぐ止めます」っていうわけにいかないわけですよね。この後の維持費がどれくらいかかるかということを考えると、「いやー一度止まって考えた方がいいんじゃないかな」という判断も裏にあったんじゃないかと…感じますけども、どうでしょうか。

(澤井 志帆 キャスター)
無理に進めずに、一旦ちょっと白紙にする。

(コメンテーター news zero メインキャスター 藤井 貴彦氏)
ねー、ちょっとね、まず建設費の時点でこれだけお金がかかる、その後のランニングコストまで考えると、もうけられるのか…というところがね、一つ気になりますね。

(澤井 志帆 キャスター)
ちょっと見通しが立たないような印象も受けますが、津川さんはいかがですか?

(津川 祥吾 アンカー)
建設費の高騰は市の責任ではないので、しょうがないとは思うんです。ただ、なんでここまで計画に時間がかかってしまったのか。かかった分だけ高騰してしまったということがあるとは思うんですが、ただ、ちょっと思い出していただきたいんですが、2020年だったと思いますが、前の市長の田辺さんがですね、この計画を1回ストップしたんですよ。あの時、コロナが、新型コロナが出てきてしまって、コロナ対応を行政がやらなきゃいけないので、どのくらいお金かかるかわからないので、一旦これストップしますよって…。思い出していただくと、例えば「水族館ができて、みんな集まるという状況じゃないよね」っていうのもあったので、その時の市の判断も、今考えれば「もっと早くやれば」って言えるかもしれませんけど、あの時の判断は責められないかな…という感じはしますよね。

(澤井 志帆 キャスター)
コロナの時代もあって、よりこの時間がかかってしまった…。

(コメンテーター news zero メインキャスター 藤井 貴彦氏)
また今、原油がね、ホルムズ海峡で止まっている状況の中で、どうやってこの命を維持するためのエネルギーを確保するのか…という点もまた問題になってくるでしょうね。

(澤井 志帆 キャスター)
そうですね。ここで気になるのが、計画白紙で建設予定地を今後どう活用していくのかということなんですが、難波市長はこのように話しています。「まずは契約解消の協議。将来はその先。事業契約が残っている段階で、次のことを考えるのは適切ではない」と話した上で
「今回は事業契約の白紙。ミュージアムを建てるという事業の構想自体は生きている」。なので「構想が白紙になるわけではない」と説明しているんですが、藤井さん、これ、地元住民にとって一番いい形っていうのはどういった形だと思いますか?

(コメンテーター news zero メインキャスター 藤井 貴彦氏)
そうですね。水族館に行く頻度を考えると、年に3回、4回行ったら多い方じゃないかなと思うんですね。ただ、子どもの頃の経験って大人への道で、すごく大切なことで、よく最近、大学の基礎研究にお金をどれぐらい投じるかということが、国力、その後変わってくるよ…というお話があると思うんですけど、こういう…一つの水族館を作ることによって、子どもたちの夢が広がる可能性があるので、白紙になったものを炙り出しすると、「何か計画があるよ」というようになったらいいんですけど、その白紙が本当に「真っ白」だと困るな。「この後どう使っていくの?その紙を…」というふうに考えてもらいたいですね。

(澤井 志帆 キャスター)
当初の計画は、水族館と博物館が融合したような…ということだったんですけれども、その点どうなんですかね津川さん?

(津川 祥吾 アンカー)
まず清水の「日の出地区」って、ちょっとワクワクするんですよ。行くと何か新しいものできたらうれしいなという感じはあると思います。観光を拠点にしたいという気持ちはすごくよく分かります。だから清水も合併して新しくにぎわいを作りたいなという市の方針はよく分かるんですけれども、ただ、やはり、これから実は人口が減っていくじゃないですか。ですから、今までみたいに箱物を作ればいいということでは決してない。ただ一方、もう一つあるのは、水族館とか博物館という教育施設という部分もありますよね。だから…もうかるか、もうからないかも、もちろん大事なんです。それだけではなくて、やはり今、藤井さんおっしゃっていただいた通り、そこに来た子どもたちがどんな経験ができるか、どんな学びができるか…それを市として、大人として提供できるか…そういったところも大事なところかなと思います。

(澤井 志帆 キャスター)
今回の白紙によって、どう生き物を守っていくのか、そして清水の未来にどうつなげていくのか、今後の動きにも注目していきたいと思います。

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