2026年3月20日 午前7時30分

 【論説】福井県坂井市の豊かな環境を守るため、市民や行政、事業者の責務などを記した市環境基本条例が改正され、4月に施行される。改正のきっかけになったのは、3年前に大関小の児童が考え、市に提案した独自条例案。子どもたちの思いを市民全体で受け止め、環境への意識を高めるきっかけにしたい。

 改正条例に追加されたのは▽リサイクル(再利用)、リユース(再使用)、リフューズ(断る)など「5R」の推進▽プラスチックの削減、代替素材の普及▽学校、地域、職場などと連携した環境保全に関する教育、学習の推進▽6月を環境月間に設定し、清掃活動日を設けて市民協働で実施すること―の4項目。これらは市の責務と位置づけられた。

 市の施策や計画に対して子どもの意見が反映されるケースはこれまでもあったが、条例は初めてとなる。児童が目指した条例化は実現しなかったものの、古里の環境を守る一歩になったことを大いに誇ってほしい。

 児童が熱心に取り組んだ背景には、地区の環境まちづくりの活動がある。2020年に住民が「大関クリーン隊」を結成し、児童を含めたさまざまな世代が主要道路沿いでたばこの吸い殻、プラスチックごみなどを毎年回収し、量や種類を調査している。独自条例案も児童たちが現状を知り、住民たちと改善策を考える中で作ったものだ。

 市民らでつくる市環境審議会では「(条例化に向け)提案された条文をそのまま生かして市民に強く発信したい」「条例化よりまず、大関小の先進的な取り組み、意識を全域に広げるべき」などさまざまな議論が交わされた。市職員も市のほかの条例との重複部分を精査するなど、部局を横断して課題を整理してきた。

 23年12月に独自条例案を市に提出したとき、児童たちは「たくさんあって、ごみ拾いがいつまでも終わらない」「市全体でごみを減らして、ポイ捨てしないルールが必要だ」などと警鐘を鳴らした。市の担当者は「大人こそ、もっとしっかり行動してほしいと言われたようだった」と振り返る。

 提案当時の児童は中学2年生になった。条例改正を受け、生徒の一人は「一人一人が意識しないとごみはなくせない。みんなにも考えてもらいたい」と呼びかける。

 条例改正は市の環境保全への新たなスタートとなる。市民、事業者、行政の意識や行動に成果はかかっているが、大人を動かした子どもたちのパワーにも期待したい。古里の環境に関心を持ち続け、市民を引っ張ってほしい。

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