2026年3月19日 午前7時30分
【論説】ふくい桜マラソンが10日後の29日に迫った。今年は2月の気温が高かったため、全国的に桜の開花日が早まる見通しだ。福井は28日との予想もあり、大会3年目にして初めてコースが淡いピンク色に染まることに期待が膨らむ。春の景色の下、国内外から集うランナーたちは軽やかなピッチとともに、最高の思い出を胸に刻んでほしい。
エントリー数は初開催の2024年が1万5341人だった。昨年1万5447人となり、今年は1万5671人。福井市中心部の通りを色とりどりのウエアに身を包んだランナーが埋め尽くす光景は、もはや福井の春の風物詩である。
福井市と坂井市にまたがるコースは、随所で桜の名所が楽しめる。それを目当てにしてか今年は香港、台湾を中心に海外から過去最多の412人の申し込みがあった。
福井県の外国人宿泊数は全国と比べて少なく、インバウンド需要を十分に取り込めていない。体験に価値を見いだす訪日客の「コト消費志向」が強まる中、桜マラソンは美しい景色だけでなく、ボランティアや沿道の応援を通じ福井の食や人情といった魅力を伝える絶好の機会。発信力に一層の磨きをかけたい。
桜とともに注目されるのが、大会プロデューサーの大迫傑選手だ。昨年12月のスペイン・バレンシアマラソンで2時間4分55秒をマークして日本記録保持者に返り咲くと、それから3カ月もたたない今月1日の東京マラソンで2時間6分を切ってみせた。
34歳にして“超人”と思えるような活躍だが、本人は「日本人トップとか言っているようでは、まだまだ」と至って冷静。ストイックに走りを極め、世界に挑み続ける姿勢は、県内ランナーの大きな刺激となろう。28、29日はハピテラスでトークショーが予定されている。
国内ランニング人口は、20年の1055万人をピークに減少傾向といわれている。大都市から地方まで全国80以上もあるフルマラソンの市民大会の中には近年、定員割れになるところも出てきている。
そんな中、ふくい桜マラソンは今回、9月の本格的なエントリー開始から1週間で1万人を突破。募集期限を待たずに定員に達した。過去2大会、県民を挙げておもてなしの心を発揮してきた成果といえよう。
昨年改正されたスポーツ基本法では、スポーツの価値を表す従来のキーワード「する、見る、支える」に、「集まる、つながる」が追加された。春の福井を舞台に地域の絆を育み、国内外の多様な人々が心を通わせる大会へ。桜マラソンが回を重ねるごとに、より進化していくことに期待したい。

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