
欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長(写真)は11日、ガス価格の上限設定を含むエネルギー価格抑制策を検討していると明らかにした。仏パリで10日に代表撮影(2026年 ロイター)
[ブリュッセル 11日 ロイター] – 欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は11日、ガス価格の上限設定を含むエネルギー価格抑制策を検討していると明らかにした。
イラン戦争勃発に伴う石油・ガス価格の急騰以前から、EUでは高騰するエネルギー価格が中国や米国の競合他社との競争を阻害していると訴える域内産業の支援案を策定中だった。
フォンデアライエン委員長は欧州議会で「ガス価格が電力価格を決定する状況下で、コストの影響を軽減することが極めて重要だ」と発言。「電力購入契約(PPA)や差額決済契約(CfD)の活用強化、国による支援措置など様々な選択肢を準備中だ。ガス価格の補助金支給や上限設定も検討している」と述べた。
EUの電力システムは、総需要を満たすために最後に稼働する発電所が電力価格を決定する仕組みとなっている。多くの場合、それはガス火力発電所であるため、安価な再生可能エネルギーや原子力発電が大部分を担っている場合でも、ガス価格の高騰が電力価格の急騰を招く可能性がある。
ガス価格の上限設定案はEU加盟国間で意見が分かれる見込みだ。
EUは2022年、ロシアがウクライナに侵攻し欧州へのガス供給を停止した際、ガス価格上限を導入した。当時、価格は過去最高値を記録し、一部産業は操業停止を余儀なくされた。
この上限は欧州のガス価格が1メガワット時あたり180ユーロに達した場合に発動する設計だった。実際には一度も発動せず、昨年失効した。
ドイツやオランダを含む各国政府はこの上限に反対し、特にアジアの買い手が欧州の買い手を上回る価格で液化天然ガス(LNG)を確保できる場合、危機時の欧州の燃料供給確保能力を阻害すると警告していた。
イラン戦争開始後、欧州向けLNGタンカーの一部は既にアジア向けに転向している。インドの主要供給元であるカタールがLNG生産を停止したため、買い手は代替貨物を争奪している。
フォンデアライエン氏はまた、ロシア産エネルギーへの回帰は「戦略的失策」となり、欧州の脆弱性が増すと述べた。
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