(CNN) 米航空宇宙局(NASA)の探査機が2022年に行われた惑星防衛試験で、小惑星ディモルフォスに意図的に衝突した。試験の目的は、人類が隕石(いんせき)などの宇宙の脅威から地球を守れるかどうかを評価することにあった。6日にサイエンスアドバンシズ誌に掲載された研究によると、試験ではディモルフォスの軌道と、より大きな小惑星ディディモスの軌道を変化させることに成功した。

ディモルフォスとディディモスは太陽を周回しながら互いの周りを公転している二重小惑星だ。そのため、一方に測定可能な変化が生じると、もう一方にも影響が及ぶ。

ディディモスとディモルフォスが太陽を周回する公転周期は約770日。新たなデータは、この公転周期が二重小惑星方向転換試験(DART)の後、恒久的に1秒未満短縮されたことを示している。

「二重惑星の軌道速度の変化は秒速約11.7マイクロメートル(1000分の1ミリ)、時速にして約4.3センチだった」と、DARTチームの一員で研究の筆頭著者であるラヒル・マカディア氏は声明で述べた。「時間の経過とともに小惑星の運動におけるこのような小さな変化が、危険な物体が地球に衝突するか、外れるかの違いを生む可能性がある」

研究著者らによると、DARTミッションは、太陽を周回する天体の軌道を人工物が変えた初めての事例だ。

衝突後の状況

DART探査機がディモルフォスに衝突したときの様子。超小型人工衛星「LICIACube」が捉えた/ASI/NASA
DART探査機がディモルフォスに衝突したときの様子。超小型人工衛星「LICIACube」が捉えた/ASI/NASA

DART探査機がディモルフォスに衝突した際、推定1600万キログラムの巨大なデブリの雲が宇宙空間に放出された。幅170メートルのこの小惑星が失った質量はわずか0.5%だったが、以前の研究によると、放出されたデブリの質量は探査機の質量の3万倍に相当する。

科学者らは、小惑星から噴き出すがれきの衝撃は、探査機が小惑星に衝突したときの衝撃よりも大きかったと結論付けた。この運動量の増大が太陽の周りを公転する時間の短縮につながったという。

以前の研究では、ディディモスを12時間で周回するディモルフォスの公転周期が33分短縮されたことが示されていた。

今回の研究では、小惑星系から吹き飛ばされた物質の量が膨大だったため、太陽の周りを公転する速度も上昇し、公転周期が合計で0.15秒短縮されたことが明らかになっている。

危険な小惑星の追跡

小惑星系から放出された2本の塵(ちり)の尾。ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた/NASA/ESA/STScI/Jian-Yang Li (PSI)
小惑星系から放出された2本の塵(ちり)の尾。ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた/NASA/ESA/STScI/Jian-Yang Li (PSI)

DARTがこの二重惑星に与える影響に関するさらなる観測と測定結果は、ヘラが今年後半にこの小惑星系の周回軌道に到達次第、公開される見込み。ヘラは2024年に打ち上げられ、二重惑星をフライバイ(接近通過)する予定の欧州宇宙機関(ESA)の後継ミッション。ヘラは今秋にディモルフォスの画像を撮影し、公開するという。

一方、現在開発中のNASAのNEO(地球近傍天体)サーベイヤーミッションは、地上の観測所からはほとんど見えなかった暗くて危険な小惑星を発見する可能性がある。

潜在的に危険な小惑星を特定し、軌道のわずかな変化がどのように大きな偏向につながるかを理解することは、宇宙機関が地球を守るための構想と密接に関連している。

私たちの世界に危険をもたらす小惑星が発見され、軌道を変えるのに十分な時間があれば、DARTのようなキネティックインパクター(動力学的衝突体)を送り、その小惑星、あるいはその伴星を、地球を回避する軌道へと誘導できる可能性がある。

WACOCA: People, Life, Style.