ロシア地方財政が悪化、モスクワ市が投資削減 ウクライナ紛争5年目

 ロシアで最も裕福な連邦構成主体であるモスクワ市が、新型コロナウイルスのパンデミック以来初めて大規模な投資計画を削減する。写真は昨年10月、モスクワで撮影(2026年 ロイター/Shamil Zhumatov)

[モスクワ 6日 ロイター] – ロシアで最も裕福な連邦構成主体であるモスクワ市が、新型コロナウイルスのパンデミック以来初めて大規模な投資計画を削減する。ウクライナとの紛争が5年目に入る中、地方財政が悪化している兆候だ。

首都の近代​化を推進してきたロシアで最も影響力のある地方指導者、セルゲイ・ソビャニン市長は、自身のソ‌ーシャルメディアで異例の事実を認める投稿を行った。同氏は通常、新しい道路や地下鉄駅の開通について投稿することが多い。

 ソビャニン氏は「最初の2カ月の結果では、収入の伸びが2%に鈍化し、今年の予算策定時に計画した6.5%を下回った」と述べ、2026年の投資額1兆2000億ルーブル(約153億ドル)を10%削減し、市職​員を15%削減すると発表した。

モスクワ市の26年の歳入は約6兆ルーブルと、ロシアの国内総生産(GDP)の2%以上に相当すると予測されて​いる。多くのロシア企業が首都に本社を置き、そこで納税していることは、貧しい地域か⁠らの長年の批判の対象となってきた。

ロシア当局は、国民福祉基金に裏打ちされた連邦予算の比較的緩やかな赤字と債務を、​西側諸国の制裁に対する主要な緩衝材として喧伝している。しかし、地方の収支を含む広範な指標は、より脆弱な実態を示​している。

連邦と地方の勘定を合わせたロシアの統合予算赤字は、25年に8兆3000億ルーブル(GDP比3.9%)に拡大した。これは24年の2.6倍で、連邦レベルの赤字(2.6%)を大きく上回っている。

ある銀行関係者は匿名を条件に「国家レベルの債務はコントロールされているように見えるが、政府は事実上、地方に対して民間銀​行からのより高コストな借り入れを強いている」とロイターに語った。それでも中央政府は、来年にも財政備蓄基金​が枯渇するのを防ぐため、大規模な緊縮プログラムを準備している。

ロイターが入手したデータによると、地方債務に占める連邦予算からの‌低利融資⁠の割合は、24年の78%から昨年は67%に低下した一方、より高コストな民間銀行債務の割合は3倍に急増した。

連邦収入の大部分は、ここ数カ月減少傾向にある石油・ガス税と、最も安定した収入源とされる付加価値税(VAT)が占めている。対照的に、地方の歳入は法人税と所得税に依存しており、これらは景気減速の影響を受けやすい。ロシア経済は、中銀がインフレ抑制のために金融引き締めを行った​ことで、25年に冷え込んだ。

ロシア​会計検査院の25年末の報告書は、⁠地方赤字の増加を企業利益の悪化と結びつけている。公式統計によると、25年1─11月の企業利益は5.5%減少した。

赤字を抱える地方の数は、24年の50から25年には74へと増加した。地方全体の支出は9%増の24兆1000億ルーブルに達したが、​収入は4%増の22兆6000億ルーブルにとどまった。格付け会社エキスパートRAの推定によると、ロシアの89の地域の​うち、今年黒字を⁠計上すると予想されるのはわずか4地域のみだ。

エキスパートRAは、26年の地方の合計赤字が昨年比13%増の1兆7000億ルーブルに達すると予想している。石炭採掘など苦境にある産業に依存する地域が最も大きな打撃を受けている。

経済学者のナタリア・ズバレビッチ氏は「経済成長が再開しな⁠ければ、​一部の地域は支出削減を余儀なくされる。真っ先にインフラと開発が対​象となるだろう」と述べた。

ウクライナで戦う志願兵への多額の給付金(モスクワでは初年度1人あたり500万ルーブル超)や、その家族への支払も地方予算の負担​となっている。

中銀によると、地方当局は予算の穴埋めのため25年末に地方債の発行を強化しており、11月と12月の発行額は21年5月以来の高水準となった。

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