地平線の向こうの太陽は窓の外で徐々に赤くなっていた。 ラマダン期間中なら、私が管制所に必ず聞く質問がある。 「マグリブ(Maghrib)タイム」、すなわち日没の時間だ。 / 写真=ジェミナイ 사진 확대 地平線の向こうの太陽は窓の外で徐々に赤くなっていた。 ラマダン期間中なら、私が管制所に必ず聞く質問がある。 「マグリブ(Maghrib)タイム」、すなわち日没の時間だ。 / 写真=ジェミナイ

「Nairobi Control、request Maghribtime at our current position」(ナイロビコントロール、現在地でのマグリブ時間を要請します)

最近、アフリカ大陸3万7000フィートの上空を通過した時のことだ。 地平線の向こうの太陽は窓の外で徐々に赤くなっていた。 ラマダン期間中なら、私が管制所に必ず聞く質問がある。 「マグリブ(Maghrib)タイム」、すなわち日没の時間だ。

「Maghrib time 17:42 local.(現地時間で17時42分です)」

管制官の答えが返ってきた。 さっそく機内放送のボタンを押した。

「Ladies and gentlemen, Maghrib time is 17:42. Inapproximately 15 minutes, today’s fast will be concluded.」(紳士淑女の皆様、マグリブ時間は17時42分で約15分後です。 今日の断食がもうすぐ終わります)」

その瞬間、客室からざわめきが聞こえてきた。 数秒後、乗務員がインターホンで伝えた客室の雰囲気は一言で「安堵」だった。 あちこちから「アルハムドゥリラ(神に感謝を)」が溢れでた。 今日のラマダンも無事に終えた本人にお疲れ様という安堵だ。

15分後、航空会社があらかじめ準備しておいた「デーツ(ナツメヤシ)」が一つずつ配布された。 明け方から水を一口も飲めなかった人たちが甘いナツメヤシを一口かじる瞬間、機内は社交空間になる。 お互いに「ラマダンカリム(祝福されたラマダンを)」と挨拶を交わし、ようやく今日一日の断食が終わったことが実感できる。

毎日繰り返されることだが、その瞬間だけは機内全体が一つになる。 国籍も、座席等級も、年齢も関係ない。 ラマダンという共同経験が、3万フィート上空の飛行機の中で数百人の見知らぬ人々をしばらく一つにまとめることだ。

これが中東航空会社のパイロットとして働きながら、私が毎年経験するラマダンの風景だ。

空の上の日没は地上とは異なる

ラマダン期間毎日繰り返されるこの儀式には、一つ複雑な問題がある。 マグリブタイムがどこで飛行するかによって完全に変わるという点だ。 / 写真=ジェミナイ 사진 확대 ラマダン期間毎日繰り返されるこの儀式には、一つ複雑な問題がある。 マグリブタイムがどこで飛行するかによって完全に変わるという点だ。 / 写真=ジェミナイ

ラマダン期間毎日繰り返されるこの儀式には、一つ複雑な問題がある。 マグリブタイムがどこで飛行するかによって完全に変わるという点だ。

ドバイから出発して欧州に向かう飛行機の中で、テュルキエ上空を通過する時の日没時間と、同じ飛行機が2時間後にポーランド上空を通過する時の日没時間は違う。 インド行きの飛行便ならインド現地時間に合わせなければならず、アフリカ東部に行く方ならまたその地域基準だ。

その上、高度も変数だ。 地上ではすでに日が沈んでも、3万フィート上空では依然として太陽が見える場合がある。 水平線の向こうに太陽が完全に消える時点が地上より数分遅れるのだ。 そのため、私たちは必ず該当地域の管制所に正確なマグリブタイムを確認する。

時間が確定すれば機内放送を通じて乗客に案内し、乗務員はあらかじめ準備しておいたデーツと水、ジュースを配布する準備に入る。 まるで新年のカウントダウンのように、その時間を一緒に待つのだ。 ただ新年は年に一度だが、ラマダンのこのカウントダウンは約30日間毎日繰り返される。

コックピット内の空気読みゲーム

コックピットの中の様子 사진 확대 コックピットの中の様子

ラマダン期間中、操縦席の中の風景も普段とは全く違う。

まず筆者は非イスラムだ。 しかし、隣の座席に座った機長や副機長がムスリムなら、この人は明け方から水を一口、ご飯を一口食べずに飛行している。 長い飛行中、そろそろお腹が空いてきた頃、思わず水差しに手がかかる。 ところが、そばでじっと我慢している同僚を見ると、正直に言って水を一口飲むのも顔色が伺える。

もちろん同僚たちはいつもこう言う。

“Don‘t worry about me. Eat, drink, do whatever you need (나 신경쓰지마. あなた飲んで、食べたいもの全部やって。」

彼らの思いやりは真心である。 しかし、それでも断食中の人のそばで、あからさまにがぶがぶ水を飲んだり、がぶがぶと音を立てながらサンドイッチを食べたりするのは、いくら非イスラム教徒だとしても礼儀ではない。 それで私はラマダン期間にはできれば同僚がしばらく席を外した間に静かに水を飲んだり、できるだけ音もなくおやつを食べる。 ささやかだがお互いへの思いやりだ。

逆にこのような配慮を全くしないクルーもたまにいる。 絶食中の同僚のすぐそばで、堂々と食べ物を食べながら強い匂いを漂わせたり、気を付けない人だ。 このような人たちは社内ですぐにうわさが立つ。 多文化が共存する中東の航空会社で宗教的感受性を無視する行動は深刻な欠礼だ。

「中東の航空会社、ラマダンに乗ってもいいですか?」

ラマダン断食が終わって夕食のイフタールを楽しむ人々/写真=ドバイ観光庁 사진 확대 ラマダン断食が終わって夕食のイフタールを楽しむ人々/写真=ドバイ観光庁

実はラマダンのシーズンになると、韓国で度々このような心配をする方がいる。

「パイロットが断食しながら飛行したら危険じゃないですか」

率直に言って理解できる心配だ。 水も飲まず、ご飯も食べていない人が数百人の命を担う飛行機を操縦するというから、不安になるかもしれない。 実際、パキスタン国際航空(PIA)は2024年、操縦士と乗務員に断食中に飛行をしないよう公式勧告を下した。 脱水と低血糖が判断力を低下させる可能性があるという理由からだ。

でも結論から言えば、心配しなくてもいい。

まず、中東の航空会社だからといって、操縦士全員がムスリムではない。 私のように非ムスリムパイロットも相当数が勤めている。 エミレーツ、エティハド、カタール航空など中東のメジャー航空会社は全世界でパイロットを採用する。 コックピットの中には常に多様な国籍と宗教の操縦士が混ざっている。

そして断食をしても彼らはプロフェッショナルだ。 数千、数万時間の飛行経歴を持つベテランたちで、自分の体力とコンディションを調節するのが上手だ。 ラマダンが毎年訪れるだけに、体のリズムを合わせるのも彼らにはすでに例年の行事だ。

最後に、イスラム教の教理自体が柔軟だ。 コーランには「旅行中か病気の人は他の日に断食を補充できる」という条項が明示されている。 パイロットは「旅行中の者(musafir)」に該当するので、飛行中に断食をしなくても宗教的に全く問題がない。 多くのムスリムパイロットが飛行のある日は断食をスキップし、休みの日に補充する方式を選ぶ。

だからラマダン期間に中東航空会社の飛行機に乗ることになっても安心してください。 コックピットの中には常に安全を最優先に考えるプロが座っている。

非イスラム教徒の私がこの儀式を毎年繰り返しながら感じるのは、ラマダンが単なる断食ではないということだ。 我慢して、待って、一緒に終わりを迎える経験。 それを3万フィートの上で数百人と一緒にすると、何か連帯意識まで生まれる。 明日も私はどこかの上空で管制塔に同じ質問をするだろう。 “Request Maghrib time?”

※ ヘルプと参考資料=ドバイ国際空港(DXB)、エミレーツ航空、国際航空運送協会(IATA)、Simple Flying、Arab News、現地航空業界関係者インタビュー総合

[ウォン·ヨファンUAE航空会社パイロット(元毎日経済記者)]

john.won320@gmail.com

アラブ航空の専門家と一緒に中東に出発しましょう! 毎日経済記者出身で、現在中東の外航会社のパイロットとして働いている筆者が、複雑で不慣れな中東地域を生々しく簡単にお読みします。

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