「与えられた事をやっているだけでは、仕事をしているとは言いません。編集者ならやりたいことぐらい持ちなさい。もしやりたい事がないなら、今すぐ辞めなさい」
「これを記事とは言わない。資料をまとめただけ。ここには一つもあなたの個性が見られない。だから全部書き直し。以上」
こんなぐっさりくる言葉を告げたかと思えば、こんなグッとくる発言もする。
「柴田さんに彼の説得を頼んだのは、あなたのコミュニケーション能力に期待したからです。たとえ失敗しても、私が頭を下げればいいと思っていました。あなた達のしりぬぐいなんて簡単です・そのために私たちがいるんですから。だから失敗なんて恐れず、存分にやりなさい。それは若い人にしかない貴重な資源です」
それが、土曜ドラマ『パンダより恋が苦手な私たち』(日テレ系夜9時~)で小雪さんが演じる、生活情報誌「リクラ」の藤崎美鈴編集長だ。

生活情報誌「リクラ」は上白石萌歌さん演じる主人公の柴田一葉が配属された雑誌。本当はファッション誌の編集者になりたくて出版社に入社した一葉は、この雑誌で生田斗真さんが演じている生物学部准教授の椎堂司を”恋愛スペシャリスト”の監修につけた、シシドカフカさん演じるカリスマモデル・灰沢アリアの恋愛コラムを担当している。
生物学が恋愛スペシャリスト?と思うだろうが、“動物の求愛行動”から学ぶことが実はかなりあることに我々も気づかされるのだ(ちなみにドラマでは動物監修は『ざんねんな生き物事典』の今泉忠明さんが担当している)。

そんな小雪さんに、2000年代前半にFRaUでの連載を担当していたFRaUweb編集長の新町真弓がインタビューする第2回は「キャリア」についてお届けしている。
前編では、インターハイを目指してバレーボールをやっていた小雪さんが17歳でモデルに応募したときの話から聞いた。そこから藤崎編集長が「答えをすべていうのではなく、自分で考えさせる言葉を投げる」事に話が及んだ。後編では小雪さんが若いころから「自分で考える」ことをどのように実践していたのかを聞く。
無駄に見える余白に気づかせるのが編集長の役割かな
――ドラマで小雪さんが演じる藤崎編集長は、注意するときにもすべてを語らず、自分で考えさせます。小雪さんも、昔から仕事に対してご自身でずっと考えていらっしゃるなと感じていました。
小雪:「『その意味は』とか『目的は』とかね。私けっこう思考型なので。でも、インスピレーションも大事にしているんですよ。たとえば、最初に台本を読んだ時に感じたこととか。知識を入れすぎたり、技術をさらけだそうと思うとその感覚が薄れてくる。文章を書くのも同じですよね。伝える人として、自分が受けた感覚をストレートに表現する。書き手としても大事なことじゃないですか。
今の人たちって、タイパとかコスパとか、『これって無駄じゃないですか?』ってよく言いますけど、無駄に見える余白に気づかせるのが編集長の役割かなと思っていて。自分がどのくらいがんばったかって、自分にしかわからないようなくらい必死でがんばらないと結果として出ないので、そこまで深く掘り下げてみなさい、と」
――自分でとことん考えることの大切さですよね。
小雪:「学校教育でもそうですよね。まず、『言われたことをやれるようにする子を育てる』みたいに感じます。だから、そういうことができる子が勉強が得意だったり、学級委員長や生徒会長になったりするのかなって。でも、大人になるとそういうことは関係なく、人として魅力があればニーズがある職業というのもありますから。
どこかに定義というものがあるにせよ、自分なりのオリジナリティを出せないとダメじゃないですか。私は、若いころからの経験値もありますが、そういうことを感じたり考えたりするタイプですね」

WACOCA: People, Life, Style.