
インド・デリー郊外のサウサンプトン大デリー校で1月撮影。。 REUTERS/Anushree Fadnavis
[デリー/ムンバイ/英サウサンプトン 12日 ロイター] – インド・デリー郊外のオフィスビルで、サウサンプトン大の経営学コースの初年度となる学生たちが講義に集まった。同大の本拠地は7000キロも離れた英南部サウサンプトンにある。
同大は学生数が世界で最も大きく伸びている市場の一つを開拓すべく、インドに進出する英国大学の最初の事例の一つとなった。
英国とインドは2025年、自由貿易協定(FTA)の締結や首相の相互訪問に加え、教育分野での連携強化でも合意した。
インド政府は23年、上位ランクの外国大学がインドに進出し、35年までに必要とされる推定7000万人の学生受け入れ枠の充足を支援することを認める規則を導入した。進出を計画している19校のうち9校を英国が占めている。
一方、英国では政府が移民削減に向けた取り組みを強力に進める中で、大学の外国人留学生募集は圧力にさらされている。
サウサンプトン大学は昨年8月にインドにキャンパスを開設し、提供する学科は限定的ながら計120人の学生を迎えた。今後10年間で、学生数を計5500人に拡大する計画だ。
同大国際・連携担当副学長のアンドリュー・アサートン教授はロイターに対して「このモデルの新しい点は、大学が学生のもとへ出向くことを考え始めることができるようになったことだ」とし、「これは双方向の流れだ。大学に来る学生もいるが、大学が学生のもとへ出向く動きは広がるだろう。そして、それは私にとってより多くの選択肢を開くことになる」と説明した。
<大学長たちが英首相のムンバイ訪問に同行>
教育は英国の主要輸出産業の一つとなっており、年間輸出額は320億ポンド(約6兆6700億円)相当に達する。これは自動車や食品・飲料などの輸出品を上回っている。
しかし、大学が長年採用してきた留学生の募集モデルは、厳しい状況に陥っている。
政府は昨年11月、留学生の学費に年間925ポンドの課税を発表。外国人留学生が卒業後に英国に滞在できる期間に関するビザ(査証)の規制も強化した。
政府は今年1月に2030年までに教育の年間輸出額を400億ポンドへ引き上げる目標を掲げ、純移民数に算入される留学生募集よりも外国展開の拡大を重視している。
サリー大のスティーブン・ジャービス副学長は、インドでの拡大は移民問題に関する議論に反射的に反応したのではなく、それ自体がチャンスだと表明。一方で英政治の争いが、留学生の呼び込みに取り組む大学にとって不確実性をもたらしていると指摘する。
ジャービス氏は「インドには優れた人材が多くおり、私たちは皆、彼らとの距離を縮めようとしている」と述べた。
サリー大はインド西部グジャラート州の産業拠点となっているGIFTシティーに新キャンパスを建設する計画だ。ジャービス氏とサウサンプトン大のアサートン氏は、昨年10月のスターマー英首相のインド・ムンバイ訪問に同行した13大学の代表者に含まれる。
スターマー氏は訪問中に報道陣に対して「インドの人々に大学教育を提供する素晴らしい機会だ」とし、「ビザの問題は全くない」と訴えた。
<大学は収入源の多様化を目指す>
英国には財政が逼迫している大学もある。英学生局のデータによると、英国の高等教育機関のうち約45%が2025―26年に赤字に陥る見通しだ。
米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)のフェリックス・エジェル氏は、外国にキャンパスを設けることは大学が「対象国での足場を確立する」上で役立つものの、当初は赤字を出す可能性が高いと話す。
ヨーク大のチャーリー・ジェフリー副学長は、新しいキャンパスには多額の先行投資を必要とするものの、大学は収益源を多様化し、上限のある国内学費、削減される研究助成金、英国に留学する留学生への依存度を減らす必要があると強調する。
ヨーク大は今年後半にムンバイにキャンパスを開設する予定で、ジェフリー氏は「私たちはもっと積極的な姿勢で臨まなければならないと思う」とし、「大学が勇気を出し、三つの大きな収入源への依存から戦略的に脱却しなければ、さらに大きな問題を抱えることになるだろう」との見方を示した。
インド当局は、進出した大学に対して英国のコースの基準に適合することを規制で求めている。これらの大学はインドの大学と競争するために学費を低く設定しており、英国で留学生が2万5000ポンドを超える学費を払っているコースでも、インドのキャンパスの現地学生に対する学費は1万―1万2000ポンドに抑えている。
デリーで育ったサウサンプトン大政治学・国際関係学コースのサディカ・メフロトラさん(20)は英国に留学したいと考えていたが、「大学進学で英国に行くことに当初強い関心があった」友人たちが今はインド残留を考えていると語る。
メフロトラさんは「(キャンパスは)インドにあるけれども、英国発の国際大学として確立されているのになぜ行かないのか」とし、「そこにはそこなりのメリットがあるはずだ」と力を込めた。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab

WACOCA: People, Life, Style.