アングル:フロリダよりパリのディズニーへ、カナダ人観光客の米国離れ深刻

写真は映画「ピーター・パン」のキャラクターに扮した人々のパレード。2022年7月、米フロリダ州オーランドで撮影。REUTERS/Octavio Jones

[ニューヨーク/アムステルダム 12日 ロイター] – 世界の観光産業が活況を呈する一方で、米国への外国人観光客は減少傾向にある。特にカナダ人観光客の落ち込みが目立ち、米国旅行を避け、海外のディズニーリゾートへ向かう動きが顕著になっている。

米国旅行の魅力低下の背景には、トランプ米大統領の政策があるとの指摘も出ている。

旅行代理店やディズニー旅行専門会社によると、カナダ人は米国への旅行を避ける姿勢を崩していない。トランプ政権下の貿易戦争、グリーンランド買収の提案、強硬な移民政策などが、米国を観光地として魅力のないものにしているという。

米商務省旅行観光局(NTTO)のデータでは、2025年の米国への外国人旅行者数は11月時点で5.4%減。中でもカナダからの旅行者は400万人減少し、前年比22%減と大幅な落ち込みとなった。

カナダの旅行代理店フェアリーテール・ドリームズ&デスティネーションズのオーナー、クリスティン・フィオレッリ氏は、米国のディズニー旅行を予約していた顧客の3割が、パリなどに目的地を変更したと話す。「魔法のようなディズニー体験は今も人気だが、米国拠点のパークは敬遠されている」と現状を分析する。

ウォルト・ディズニー(DIS.N), opens new tabのヒュー・ジョンストンCFOは、直近の決算説明会で、第2・四半期の海外予約の見通しが不透明なため、国内旅行者へのマーケティングと販売に注力すると述べた。ディズニーは追加のコメント要請に応じなかった。

「大のディズニーファンだが、今の政治情勢では米国へは行けない」。そう語るのは、トロント在住のキャサリン・ノリスさん(57)。2008年から毎年家族でディズニーワールドを訪れていたが、今年は欧州のディズニー旅行と、シンガポール発のディズニークルーズを予約した。「今後5年から10年は、米国へ行くことはないだろう」と話す。

ウォルト・ディズニー・ワールドがある米オーランドへの24年の訪問者数は、カナダからが120万人と最多だった。オーランドの観光マーケティング会社「ビジット・オーランド」は、25年の数字をまだ発表していない。

しかし、6月に開幕するサッカーのワールドカップが状況を変える可能性もある。

トランプ政権のアンナ・ケリー副報道官は、「トランプ大統領は米国の観光業に誰よりも貢献した」と述べ、「彼のアメリカ・ファースト(米国第一主義)は、わが国を再び自由世界のリーダーとしての地位に戻し、住むにも訪れるにも最高の場所にした」と強調する。

しかし、観光業団体の世界旅行ツーリズム協議会は、世界の観光客数が6.7%増加するにもかかわらず、25年には米国への外国人観光客が6%減少すると予測している。

<複雑な見方>

観光客数の低迷は、米国の国立公園にも影を落としている。

オーストラリアのイントレピッド・トラベルは、300以上の米国国立公園ツアーを提供しているが、26年の予約は42%減少。特にカナダ、英国、オーストラリアからの予約が落ち込み、カナダからは93%減と激減した。英国の高級旅行代理店カゼノブアンドロイドは、モンタナ、ワシントン、カリフォルニアなどの州立公園を中心としたオーダーメイド旅行プランを中止。「米国に特化したものを立ち上げる時期ではないのかもしれない」と、共同オーナーのクリストファー・ウィルモット・シットウェル氏は語る。

ホテル運営会社ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングス(HLT.N), opens new tabの通年決算では、25年に米国の一室あたり収入と稼働率が、他の地域で上昇したにもかかわらず低下した。ホテル分析会社コスターによると、マリオット・インターナショナル(MAR.O), opens new tabのCEOは1月の会議で、政府関係者に対し、海外からの訪問者をもっと歓迎するように働きかけたと述べた。

フライト分析データ会社シリウムによると、10月7日から1月31日までの欧州から米国への予約は、前年比14%減少。カナダからの予約も同時期に17%減少した。

トランプ政権が打ち出した、旅行者へのソーシャルメディアデータ提出義務化案が、不透明感を増幅させている。旅行業界からは、入国審査のさらなる厳格化と受け止められ、旅行控えを招くとの懸念が出ている。

業界団体の米国旅行協会は、旅行先としての米国の魅力を損ないかねない、と警鐘を鳴らす。同協会のエリック・ハンセン政府渉外責任者は、政権が移民取り締まりを強化しているという印象が広がり、米国への渡航をためらう人が増える可能性があると指摘する。

もっとも、ハンセン氏は「データを見る限り、米税関・国境警備局による携帯電話の検査回数や入国拒否件数は、以前の政権と比較して特段増加しているわけではない」とも述べており、過剰な警戒を戒めている。

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