「藤井貴彦のおじゃまします」では、日テレ系「news zero」でおなじみ、ワインエキスパートの資格を持つ藤井貴彦キャスターと一緒に、山梨のワイン文化を見つめ直します。
第15回は南アルプス市のワイナリーにおじゃましました。
独自の栽培法で育てたブドウを使い、唯一無二のワイン造りを行う醸造家に出会いました。
藤井貴彦キャスター
「今週の藤井貴彦のお邪魔しますは、ちょっとなんか住宅街で、ここにワイナリーがあるように思えないんですが…」
今田舞キャスター
「こんな住宅街の中に、いま大注目のワイナリーがあるんです」
今田キャスター
「テーマこちらです。【異彩を放つ醸造家の挑戦】」
藤井キャスター
「異彩を放つが醸造家にかかるのか?挑戦にかかるのか?」
今田キャスター
「どっちにもかかっていると思います」
藤井キャスター
「どっちにもかかってるんですか?きょうは恐ろしい神回になるかもしれません」
今回おじゃましたのは南アルプス市小笠原の住宅街
藤井キャスター
「このあたりにある?」
今田キャスター
「住宅が建ち並んでいるので」
藤井キャスター
「あれ?あれは間違いないな」
今田キャスター
「作業されてますね」
藤井キャスター
「こちらはワイナリーですか?」
ドメーヌヒデ代表 醸造家 渋谷英雄さん
「ワイナリーです」
住宅街の一角に、そっと佇む小さなワイナリー、ドメーヌヒデ。
醸造家で代表の渋谷英雄さんは、2012年から勝沼のワイナリーで三年間の修業を積み、その後、2015年に南アルプス市に本格移住し、ワイナリーを立ち上げました。
この日は10月の下旬。ワインの仕込みの最盛期でした
ドメーヌヒデ 渋谷英雄さん
「これが皮と種が入ってるので、液体と分離していくんですね。私達の間では、きょうのここまではブドウなんですよで。この瞬間からワインに生まれ変わる」
仕込みは全て、手作業で行われています。
藤井キャスター
「これ手作業でやる良さってなんですか?」
渋谷英雄さん
「一つは機械であると、やっぱかき混ぜてしまうので、劣化しちゃうんですね。手作業の方が、ワインの本来の優しい味わいが出る」
藤井キャスター
「うわ!すごい量だ!真紫ですね」
今田キャスター
「きれいですね」
こうして、ブドウは静かにワインへと姿を変えていきます。
工房にも入れていただきました。
藤井キャスター
「あら!ちょっと別世界ぎっしり」
渋谷英雄さん
「これをどんどん瓶詰めしたり、樽に入れたりする作業が、これからどんどん始まりますね」
小さな空間の中で、ワインたちは、どんな表情を見せてくれるのか、楽しみです。
藤井キャスター
「なんでこの住宅街でワイナリーを作ろうと思ったんですか?」
渋谷英雄さん
「僕は50歳になってからワイナリーやったんで、若い人たちに追いつくためには、ワインと24時間一緒にいれば、少し追いつくなと思って、この間まではこの2階の屋根裏に住んでいました」
渋谷英雄さん
「夜中とかに炭酸ガスが出るんで、警報装置が鳴るんですけど、きょうはこのタンクは発酵してて、炭酸ガス出してて、警報装置鳴らしてるな、今ピークだなとか、それは寝てても分かる様になりました」
藤井キャスター
「これじゃあもう、ブドウと会話できるようになってしまったんじゃないですか?」
渋谷英雄さん
「それに近いんでしょうかね。どうでしょうか?」
そんな渋谷さんの造るワインは、デキャンタワールドワインアワードで銀賞を受賞するなど、世界からも評価されています。
その味を支えているのが、渋谷さん独自の製法。
藤井キャスター
「隣のカレンダーなんですがこれなんですか?」
渋谷英雄さん
「これ潮の満ち欠けですね」
藤井キャスター
「ブドウの栽培と関係があるんですか?」
渋谷英雄さん
「潮が引くときには、樹液が下に行くので、ブドウの実が一番美味しくなるんすね。満月とか、新月の引き潮時間で、夜収穫したりもします。元々僕はダイビングをずっとしていたので、潮の満ち引きが生物全部に影響を与えているのは、もう肌身を持って見てきたので」
藤井キャスター
「渋谷さんのお話ちょっと面白すぎるんですよ」
渋谷英雄さん
「もしよろしければ、上にカフェをやっているので、うちの家内が」
藤井キャスター
「カフェもやっているんですか?」
南アルプス市のワイナリー、ドメーヌヒデ。
そこから少し離れた山間の集落に、そのワインを味わえるカフェがあります。
藤井キャスター
「これ?月晴れる?」
渋谷英雄さん
「月がすごいきれいなとこなんでここ、お月様が。もう古民家です。古い建物です」
藤井キャスター
「いやぁ素敵。今田さんここ、旅館に来ちゃったみたいな」
今田キャスター
「本当ですね。歴史を感じる」
築100年以上の古民家を改装したカフェ「月晴れる」。
米粉の蒸しパンやビーガンランチとともに、ドメーヌ・ヒデのワインを味わえます。
渋谷英雄さん
「それとこの景色をぜひよかったら」
藤井キャスター
「こっちもこれ棚田」
渋谷英雄さん
「ここは棚田のお米ですね。おじいちゃんおばあちゃんが作って下さってて、ただ担い手が減って、やる人が減っているので、これから先どうなるか、ちょっと心配なんですけど。手前どもも、向こう側にブドウ植えたり、色々しながらですね」
この景色を、これからも守っていきたい。
渋谷さんのそんな思いが、ワイン造りにも重なっています。
渋谷英雄さん
「とっておきのワインを持ってきました」
渋谷さんとぶどう農家さんのワインへの愛を表した、その名も「愛してる」。
マスカットベーリーAにで、きるだけ手を加えず、自然酵母で仕込んだ赤のスパークリングワインです。
藤井キャスター
「おいしい。マスカットベーリーAのですね、素朴ながら華やかで、飲んだ瞬間に気持ちがふわっと明るく、優しくなります。この自然で飲むのに最適」
渋谷英雄さん
「ありがとうございます」
藤井キャスター
「あと、このエチケットが絵地図みたいなもんですよね」
渋谷英雄さん
「これ、僕が描いたんですけど、月晴れるとか、醸造しているところ、造っているところを、日にち入りで描いてあります」
藤井キャスター
「愛してるが詰まってる、エチケットじゃないすか。すごいな。ダイビングの海からですよ。葡萄畑の山に来るまで、どういう経歴だったんですか?」
渋谷英雄さん
「元々ダイビングしてたりして、高校生を教えたりしたら、不登校の子がいたりして、そうするとやっぱりね、根性だけではなかなかねいかないから、心理学勉強して、最後は臨床心理士」
藤井キャスター
「ダイバーから臨床心理士になられたワインにはどうして??」
渋谷英雄さん
「臨床心理士は基本的に聞いた話、言っちゃ駄目なんで、表現しちゃ駄目な仕事なんですね。ワインはこんなの作った、あんなの作ったって言えるじゃないすか。最後はその表現できる仕事、物づくりをやりたかったっていうのは、結構大きいと思いますね」
表現の場を求めて、南アルプス市に辿り着きました。
渋谷英雄さん
「全国で水撒いて歩いて、46カ所のうちから、ここを選びました。どこが一番染みこむのが早いかが、造る決め手だったんで。ここが一番早かったです」
藤井キャスター
「46カ所回って、ここに決めて正解だったと?」
渋谷英雄さん
「本当に良かったと思いま。本当に助けられてます」
ワインは、その人の生き方を映すもの。
渋谷さんの一杯には、そのすべてが詰まっていました。
次回は、渋谷さんがワイン造りを通して伝えたい思いに迫ります。

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