夢をつかむ 未来を担う 

 日本画の伝統が息づく京都で、若手日本画家の活動を奨励する「京都 日本画新展2026」の展示が始まる。古典的な技術や様式を研究する人、かつてない新鮮な表現に挑む人など、未来を担う画家たちの競演が見どころだ。

 大賞を受賞した中村勇太さん「一笑図」は、古典の「誰(た)が袖屏風(びょうぶ)」を思わせる画面構成だ。西陣で図案を学び、竹文様の着物を重ねている。併せて描いた犬は愛犬の成長ぶりだという。竹と犬の組み合わせで「笑」という伝統のおめでたい見立てを、現代の日本画に応用した。

大賞 中村勇太「一笑図」

 優秀賞の波賀野文子さん「邂逅(かいこう)」は、オオサンショウウオ2匹が顔を合わせている。夜の川で生き物たちが動き出す情景をイメージしたそうだ。動物も京都画壇で好まれてきた画題で、自然界の緊張感や生命力の豊かさを描いている。

優秀賞 波賀野文子「邂逅」

 堀花圭(はるか)さんの「One day―waterfalls―」は、ナイアガラの滝で見た水しぶきや虹、その空気がはらむ解放感を表現している。

優秀賞 堀花圭「Oneday―waterfalls―」

 奨励賞の吉原拓弥さんは松が新芽を伸ばす様子を丹念に描いた。植田吏(つかさ)さんは金属に和紙を貼って墨をたらし込むという独特の手法を使っている。土淵麻衣さんは小さな空間にせめぎ合う草の命を丁寧に見つめた。

奨励賞 京都府知事賞 吉原拓弥「生々瑞芽」

奨励賞 京都市長賞 植田吏「影見」

奨励賞 京都商工会議所会頭賞 土淵麻衣「相」

 選考にあたった日本画家の大野俊明さんは、日本美術に息づいてきた自然を敬愛する心が、若い世代にも受け継がれていると解説する。みずみずしい「いまの日本画のありよう」を、生の画面から感じてほしい。推薦委員を務めた日本画家6人の新作も展示する。


【会期】2月6日(金)~15日(日)。会期中無休

【会場】美術館「えき」KYOTO(京都市下京区、ジェイアール京都伊勢丹7階隣接)

【開館時間】午前10時~午後7時30分(最終日は午後5時閉館、入館は閉館30分前まで)

【イベント】会期中の土・日を中心に、出品作家によるギャラリートークを実施する

【主催】JR西日本、京都新聞

【共催】京都府、京都市、京都商工会議所

【出品作家】

岩井晴香、植田吏、宇野加奈子、奥野久美子、小熊香奈子、上岡奈苗、川島美樹、北川麗 虞梦芝、倉谷優羽、小林美野理、小山大地、坂口鈴音、田口涼一、竹村花菜、千坂尚義 土淵麻衣、冨永拓眞、中田柚香、中村勇太、西川礼華、野一色優美、波賀野文子、服部由空 原田有希、福井悠、古川功晟、堀花圭、吉川大介、吉原拓弥

◆推薦委員

石股  昭(奈良芸術短期大学教授)

雲丹亀利彦(京都精華大学教授)

大沼 憲昭(嵯峨美術大学名誉教授)

川嶋  渉(京都市立芸術大学教授)

西久松吉雄(成安造形大学名誉教授)

村居 正之(大阪芸術大学教授)

◆選考委員

内田あぐり (日本画家、武蔵野美術大学名誉教授)

大野 俊明 (日本画家、成安造形大学名誉教授)

澤田 瞳子 (小説家、同志社大学客員教授)

下出祐太郎 (蒔絵師、京都産業大学名誉教授)

村上 良子 (紬織作家、重要無形文化財保持者)

 

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