
釣り客に事故防止を呼びかける海上保安官=17日、霧島市国分敷根
鹿児島湾では1年を通してミニボートに乗った釣り客の姿が多くみられる。免許や検査なしで手軽に利用できるが、転覆や浸水も絶えない。第10管区海上保安本部によると、県内では2021〜25年に29件の事故があり、24年には1人が死亡した。冬の海中転落は低体温症につながる恐れもあり、鹿児島海上保安部は「荷物の積み過ぎは浸水を招く。救命胴衣も必ず着用を」と注意を促している。
1月17日朝、鹿児島県霧島市国分敷根の海岸ではミニボート9隻が順次海に出た。利用者10人全員が救命胴衣を着けており、海保職員が改めて着用の徹底を呼びかけた。
月1回訪れるという宮崎県小林市の鉄鋼業柚木脇俊一さん(62)は「家を出る前に風速を確認し、2メートル以上なら諦める。海では自分の位置を常に把握している」。高校生の息子と毎週ボートに乗る霧島市溝辺の会社員酒瀬川幸人さん(63)は転覆を防ぐ浮具をボートに取り付けており「2人で乗る分、安定性が大事」と話した。
この日の鹿児島湾では、鹿児島県姶良市東餅田や垂水市牛根麓の沖合でも計8隻のミニボートを確認できた。
ミニボートは長さ3メートル未満、機関出力2馬力未満と扱いやすい半面、波風に非常に弱い。国土交通省は航行の目安として風速4メートル、波の高さは20センチ以下、区域は岸から1キロ、出航場所から2キロ以内としている。他の船からの衝突を避けるため高い位置に旗を掲げるよう求めている。携帯電話は防水パックに入れ、エンジントラブルに備えてオールを積むことも重要だ。
10管によると、過去5年に起きた29件の主な事故は、エンジンオイル不足などの機関故障が11件、浸水・転覆が9件だった。24年には高齢男性2人が乗ったボートが浸水し、海に飛び込むも1人が死亡。荷物や人のバランスが崩れて浸水したとみられ、男性は救命胴衣を着けていなかった。
同保安部の本多一成交通課長は「事故のほとんどは人的要因。救命胴衣の備えなど命を守れるかは個人の安全意識にかかっている」と指摘。「天候や点検次第で出航を取りやめる判断ができるかどうか。最低限の準備をして楽しんでほしい」と話した。

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