ウクライナ軍の兵士は、ロシアのドローンを防ぐために陣地や兵器を低コストのネットで覆っている。 Diego Fedele/Getty Imagesイギリス陸軍のベン・アーウィン-クラーク中佐によると、ウクライナ軍の兵士たちは、イギリス軍が対ドローン用のネットを使っていないことを知って衝撃を受けていたという。彼が所属するイギリス陸軍アイルランド近衛隊第1大隊は、訓練したウクライナ軍兵士たちから重要な教訓を学んだとアーウィン-クラーク中佐は話している。ウクライナ軍は、ロシアのドローンによる攻撃を防ぐため、陣地や道路、車両、兵器の上にネットを張っている。
ウクライナ軍の兵士たちは、戦闘訓練のためにイギリスにやって来た際、イギリス軍(British Army)では対ドローン用のネットが標準装備になっていないことを知って衝撃を受けたとイギリス陸軍のある将校がBusiness Insiderに語った。

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イギリス陸軍アイルランド近衛隊第1大隊(1st Battalion of the Irish Guards)の指揮官であるベン・アーウィン-クラーク中佐(Lt. Col. Ben Irwin-Clark)は、彼の所属する連隊は多くの作戦を経験してきた歴史ある歩兵部隊であるが、20年間でドローンを防ぐためのネットが使われているのを見たことは一度もないと語った。
「ウクライナの軍人たちは本当に驚いていた」と彼は語った。ウクライナ兵士は「自分たちの陣地の上にネットを張るのは当然のことだ」と考えているのだという。
ネットはドローンの侵入を食い止め、標的への接近を防ぐ。Ukrinform/NurPhoto via Getty Images
ドローンはウクライナの至るところに登場する存在となり、ほとんどの戦場での攻撃に使われている。そのため、ウクライナ軍とロシア軍は常に空中からの脅威から兵士や兵器を守らなければならなくなっている。
防御手段には、ネットのような低コストのものもある。ネットはドローンのプロペラに絡みつき、兵士や高価な装備といった攻撃目標に到達するのを防ぐことができる。兵士たちはこうした対ドローン用ネットを陣地や武器を設置した拠点、装甲車両の上に張り巡らせている。さらにウクライナ軍は、補給路を守るため、重要な道路上にもネットを設置している。
ウクライナ軍は可能な限りのネットを集めており、友好国の漁村で使われていた漁網まで防御用に転用しているという。
ウクライナはロシアのドローンから車両を守るため、道路の上をネットで覆っている。Pierre Crom/Getty Images
「ウクライナ軍の兵士たちは、イギリス側の訓練担当者に、『ネットが必要だ』と伝え、それを受けてイギリス軍は迅速に対応した」とアーウィン-クラークは説明した。
「我々はイングランド東部のあらゆる漁港を回って、使われなくなった古い網を譲ってほしいと頼んだ」とアーウィン=クラークは語った。
「その結果、現在では何百メートルにも及ぶ漁網を確保しており、訓練を行う際には、それらを使用している」
「それが本当にドローン対策として最適な種類のネットかどうかはわからない。しかし、訓練用に状況を再現するという意味では、これが今できる最も現実的な方法だ。費用は一切かかっておらず、ウクライナ軍の仲間たちから学んだ教訓だ」
彼は、このことはウクライナ軍の最前線の戦闘で得た経験がイギリスの訓練内容に反映されだ「ほんの一例」にすぎないと説明する。実際に戦闘を経験したウクライナ軍の兵士たちは、戦場からイギリスの訓練施設に直接やってきて、彼らの経験や教訓をイギリス側に伝え、それがイギリス軍の訓練や行動に取り入れられているという。
イギリス陸軍は、訓練でネットを使用した。これはウクライナ軍兵士と協力する中で学んだことが取り入れられた結果だ。Sinéad Bakerウクライナ軍からの学び
イギリス陸軍のアイルランド近衛隊は、イギリス主導の訓練プログラム「オペレーション・インターフレックス(Operation Interflex)」を通じ、こうした多くの知見を得ている。このプログラムは、ウクライナの新兵だけでなく実戦経験のある兵士も含め、これまでに6万2000人を超える兵士を支援してきた。
Business Insiderが最近取材した訓練の場で、アーウィン-クラークは次のように語った。「ウクライナの人たちとともに活動したり、ウクライナ兵を訓練することは本当に刺激的だ。我々がオペレーション・インターフレックスに携わり始めた1年以上前には、自分たちがこれほど多くのことを学ぶことになるとは予想していなかった」
ウクライナはロシアのドローンによる攻撃を防ぐため、戦車や装甲車両にもネットを取り付けている。Andriy Andriyenko/Ukraine’s 65th Mechanized Brigade via AP
オペレーション・インターフレックスの訓練は、ロシアの侵攻に対抗できるように、西側諸国や北大西洋条約機構(NATO)の軍事思想や戦い方をウクライナ軍に教えることを目的としている。しかし近年、そのやり取りは一方通行ではなく、イギリス軍も訓練内容の一部をウクライナ側の意見や経験をもとに見直すようになっている。

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