情報化社会における「触れること」を再考する

川端健太による個展「document / skin」が、Gallery & Bakery Tokyo8分で2026年3月7日(土)から4月7日(火)まで開催される。本展は、「皮膚感覚」や「触覚」に着目して制作を続けてきた川端の新作絵画に加え、修士・博士課程で制作された作品を交え、情報化・非接触化が進む現代における身体と世界の関係性を問い直す試みとなっている。

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川端はこれまで現代的な視覚体験や感覚、個人の記号化や、インターネットの普及に伴う人とのコミュニケーションの多層化など、人と人との情報伝達を間接的にしていると思われる隔たりについて考え、絵画彫刻の制作に取り組んできた。2019年に東京藝術大学大学美術館に収蔵、2023年に岡本太郎現代芸術賞入選、2026年に野村美術賞受賞のほか、O氏記念奨学生、クマ財団4期奨学生、佐藤国際文化育英財団奨学生、神山財団奨学生に選ばれるなど活動を重ねている。

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参考作品 oil and acrylic on panel 2025

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出展作品 pencil and acrylic on panel 1300 × 1010mm 2025

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参考作品 oil and acrylic on panel 2025

アーティストステートメント

私は、「皮膚感覚」や「触覚」といった身体的な感覚に着目し、絵画制作に取り組んでいる。皮膚感覚とは、単に外部刺激を受容する物理的機能にとどまらず、自己の境界を認識し、他者や世界との関係性を構築するための多層的な知覚領域である。情報化や非接触化が加速し、身体的リアリティが希薄化する現代において、実在を確認する回路としての「触覚」を再考することは、私たちが世界をいかに受容しているかという知覚の前提を問い直すことにつながる。

展示タイトル「document / skin」は、皮膚を単なる生体組織としてではなく、経験や外部との接触が蓄積される「記録媒体(ドキュメント)」として捉える姿勢を示している。また、「手」や「パスポート写真」、「幼児」といったモチーフは、皮膚を「触れる・触れられる」や「見る・見られる」という関係が交錯する表面と捉え、コロナ禍以降、反復的に用いてきたものである。これらは、原初的な接触への希求と、社会制度による身体の管理という、皮膚をめぐる二極的な側面を象徴している。

川端健太

川端健太個展「document / skin」開催概要

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