2026年2月6日 午前7時30分
【論説】福井で暮らす在留外国人やインバウンド(訪日客)の増加に伴い、外国人患者を受け入れる医療体制の構築が課題となっている。言語や文化の違いといった壁を乗り越え、外国人が安心して医療を受けられる環境整備を急ぐ必要がある。
多くの医療機関が直面している最大の障壁は言語だ。言葉が通じなければ、どこが痛いのか、持病があるのかなどを病院側に伝えることすらできない。
県によると、県内の外国人住民は昨年末で約2万700人おり、国別でみるとブラジルや韓国・朝鮮、中国に加え、ベトナムやフィリピン、インドネシア、ミャンマーなど東南アジア諸国が大きく増加。多くの言語が県内で使われており、対応は難しさを増す。
県の調査では、大まかな数字として1カ月に病院を訪れる外国人患者数は3400人ほどという。病気やけがの際に国籍別で訪れる病院が違い、ブラジル人はコミュニティー内でよく知られている地域の病院を訪れ、ベトナム人は実習生仲介に携わる監理団体などが大病院に連れて行く傾向だという。多くの場合、患者の家族や監理団体が通訳として同行しており、専門知識や医療用語を知らず適正な治療ができない懸念もある。
県が選定した外国人患者の受け入れ拠点は大病院を中心に10病院あるが、基本は翻訳機能のあるタブレット端末配備などが主だ。同行通訳とタブレットで受け付けなどの手続きは可能かもしれないが、外国人患者と医師が深くコミュニケーションを取るには、医療用語を正確に伝えられる医療通訳者が不可欠だ。県内では任意団体「メディサポふくい」が活動を担うものの、実質的に活動できている人は十数人しかおらず、養成を急ぐ必要がある。
ただ、すぐにできることもある。県国際交流協会によると、多くの在留外国人は簡単な表現に言い換えたり、振り仮名を付けたりする「やさしい日本語」をある程度理解できる人が増えているという。病院が積極的にやさしい日本語を取り入れることから始めるべきだろう。また、緊急外来などに対応できるよう、民間企業が行うオンライン医療通訳などの導入も検討を進めてほしい。
外国人住民の受け入れは、人手不足に悩む福井にとって重要だ。今後は外国人の高齢者も増えていく。安心して子どもを育て、病気になっても迅速かつ適切に治療を受けられる環境がなければ、福井が定住の地として選ばれなくなってしまう。

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