スペインリーグの冬の移籍市場が2日に終了した。
スペイン紙アスが「凍結状態」と表現したように、多くのクラブが過剰な支出や浪費を避けるという方針を堅持。その主な理由として例年通り、財政難やサラリーキャップ(選手の契約年数に合わせて分割された移籍金や選手年俸などの限度額)の問題が挙げられる。
■Aマドリード積極補強で巻き返しへ
スペインリーグ全体の補強費は過去10年間でワーストだった昨冬の2倍以上となる7550万ユーロ(約135億9000万円)だったが、そのうちの3分の2を唯一目立つ動きを見せたアトレチコ・マドリードが占めている。一方、選手売却による総収入は9950万ユーロ(約179億1000万円)と補強費を上回った。
スペインリーグの補強費は昨季同様に欧州5大リーグ最下位と、厳しい状況が続いている。4億5373万ユーロ(約816億7140万円)でトップのプレミアリーグとの差は非常に大きく6分の1。セリエAが2億4349万ユーロ(約438億2820万円)で2位、フランスリーグが1億510万ユーロ(約189億1800万円)で3位、ブンデスリーガが9895万ユーロ(約178億1100万円)で4位となっている。
今冬の移籍市場ではレアル・マドリードとビルバオ以外の18クラブが補強を行い、12クラブが資金を投じる結果となり、計44人が登録された。そのうちの3人はパブロ・マリン(Rソシエダード)のようにBチームからトップチーム登録に変更された選手であるため、実質的な補強は41人。その内訳は完全移籍が17人、期限付き移籍が24人となっている。
その中で最も派手な動きを見せたのは、コナー・ギャラガー(チェルシー)、ジャコモ・ラスパドーリ(アタランタ)、ハビ・ガラン(オサスナ)の売却で6000万ユーロ(約108億円)以上の資金を得たAマドリード。計5400万ユーロ(約97億2000万円)を費やし3人を補強した。首位バルセロナを勝ち点10差で追う3位という状況を好転させるため、ナイジェリア代表FWアデモラ・ルックマン(アタランタ)を今冬のスペインリーグ最高額となる移籍金3500万ユーロ(約63億円)で獲得。さらに、メキシコ代表MFオベド・バルガス(シアトル・サウンダーズ)、“新たなペドリ”と称されるU-21スペイン代表MFロドリゴ・メンドーサ(エルチェ)を補強した。
■バルサ、レアルの2強は静かな冬
優勝争いを繰り広げる2クラブは静かな冬を過ごした。リーグ戦で首位を走り、欧州チャンピオンズリーグと国王杯を順調に勝ち進むバルセロナは、ポルトガル代表DFジョアン・カンセロ(アル・ヒラル)が期限付き移籍で戻ってきたのみ。
一方で将来有望な18歳のドロ・フェルナンデスをパリ・サンジェルマンに820万ユーロ(約14億7600万円)で売却したことに疑問を持たれている。
また、テア・シュテーゲンは出番を求めてジローナに期限付き移籍したものの、早々に戦線離脱を余儀なくされている状況だ。
勝ち点1差で2位につけるRマドリードは先月、監督交代やスペイン・スーパーカップ決勝でバルセロナ、国王杯4回戦で2部アルバセーテに敗北という困難な時期を過ごしたが、クラブは現有戦力で十分と判断しているため新たな補強に動かず、出場の機会に恵まれないエンドリッキをリヨンへ武者修行に出すのみに留まった。
■久保代役にU20ブラジル代表獲得
日本人選手の所属クラブに目を向けると、8位のレアル・ソシエダードは層の薄いセンターフォワードの補強を検討しながらも、長期離脱の可能性のある久保建英の代役として、最終的にU-20ブラジル代表FWウェズレイ(アル・ナスル)を、約1200万ユーロ(約21億6000万円)の買い取りオプション付きの期限付き移籍で獲得。一方でウマル・サディクをバレンシアに売却し、ミケル・ゴティを2部コルドバに期限付き移籍させた。
14位のマジョルカは得点ランキングで2位につけるムリキ頼りの攻撃陣に変化をもたらすため、浅野拓磨と右サイドでポジションが被る可能性があるフランス人FWジャスティン・カルンバ(アンジェ)をフリーで獲得し、アンゴラ代表FWジト・ルブンボ(カリアリ)を期限付き移籍で補強。さらに、生え抜きのジャン・サラス(コルドバ)が期限付き移籍から復帰した。ダニ・ロドリゲス(レガネス)が契約解除、マルク・ドメネク(セウタ)が期限付き移籍でチームを離れている。
その他の大きな動きとして、10位アラベスは昨季のスウェーデンリーグ得点王に輝いたコートジボワール人FWイブラヒム・ジャバテ(GAIS)、12位ジローナはアルゼンチン代表MFクラウディオ・エチェベリ(マンチェスター・シティー)、今冬最多5人を補強した17位ヘタフェはセルビア代表FWベリコ・ビルマンチェビッチ(スパルタ・プラハ)をそれぞれ期限付き移籍で獲得した。
スペインを離れた選手の中では、7位セルタで今季前半プレーしたスペイン代表歴のあるブライアン・サラゴサがローマに去ったことが話題となった。
今冬もスペインリーグ全体の財布の紐は非常に固く、Aマドリードだけが派手に動く結果となった。各クラブが行った今回の補強が後半戦に向けてどのような効果をもたらすのか、シーズン終了を迎える約4ヶ月後にその答えは出る。
【高橋智行】(ニッカンスポーツコム/サッカーコラム「スペイン発サッカー紀行」)

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