地道な自主トレで開けた視界
「自分でなければいけない理由を作りたい」

MF 27 常盤亨太

2026シーズンの明治安田J1百年構想リーグに臨む全青赤戦士を紹介する『PLAYERS FILE 2026』。果たしてハーフシーズンの特別大会を控えた選手たちはどんな想いを抱き、いかなる覚悟で一年に臨もうとしているのだろうか。

開幕前の沖縄糸満キャンプで充実の時間を過ごした常盤亨太。2025シーズンは結果を残せず、メンバーにも絡めない時間が続いたが、その裏側で積み上げた自主トレが彼の視界を一気に明るくした。苦しかった時期に何を考え、どんな努力を重ねてきたのか。その手応えを持って臨む新シーズンに見据えた自らの進むべき道とは。

不断の努力は、裏切らない。

開幕前の沖縄糸満キャンプで、目覚ましいパフォーマンスを見せる選手がいた。その最終日に、常盤亨太は喜々として充実の時間をこう語った。

「沖縄キャンプが始まる前にも話しましたが、一回一回の練習に公式戦くらいの覚悟を持って臨むという気持ちで沖縄キャンプに来ました。このキャンプで序列を覆すしかないと思っていたので、良いシーズンの入りができたように感じます。少しは納得できる部分もありました」

2025シーズンのリーグ戦での出場数はわずか7試合に終わった。ベンチにすら入れない時間が続いていたが、歩みを止めることはなかった。試合に出場するため、率先して朝練や一人での二部練を自ら始めた。“止める、蹴る”の基礎練習を地道にコツコツと積み重ねると、弛まぬ研さんによって突然扉が開いたという。

「以前なら受ける場所が悪かったし、受けた後にバタついていた。そこが自主練をやるなかで、自分なりにボールをとられない置き場所を見つけることができた。相手との距離感でどこに立てばいいかということも分かってきて、突然パッと視界が開けた。その凄く良い感覚のままキャンプで練習試合を重ねて、成長を実感できた。これをベースにしないといけない」

日々に意味を見出してきたからこそ、要領を得た瞬間にグンと伸びた。できることが増えると、3列目から果敢な飛び出しやボール奪取力など、彼本来の武器がより輝きを増した。

「ボックストゥボックスの縦の動きは自分の武器で、攻撃を作る部分を求められてきた。そのバランスで攻撃を作りに降りるだけではなくて、背後に抜けることで相手が下がるのでスペースも空く。自分の特長とチームに求められている部分の折り合いで、いいバランスが見えてきた」

ボールの置き場所が良くなると、自然と顔も上がるようになった。もう一つの持ち味である周りを声で動かすところでも、うまくリーダーシップを発揮できるようになってきた。

「声を出してリーダーシップを発揮できるところも自分の良さなので、守備の部分で全体を動かすことは当たり前だと思っています。そこはブラッシュアップしつつ、攻撃でのつながりや先に味方を動かしておくことで自分も楽になるという部分は意識してプレーしています」

それでも常盤は少しも満足はしていない。成長した先に見据えるものは、公式戦でチームを勝利に導くことだ。

「今までの自分からは想像できないようなプレーができているから、ちょっといいなと思ってもらえるかもしれない。ただ、これでようやく戦える土俵に立ったに過ぎない。自分は守備の男なので、ボールを奪ったうえでゴールやアシストを記録していかないと、主力を引きずり下ろして自分がポジションを掴む決定的な理由にはならない。絶対に自分でなければいけない理由を作りたい」

暗中模索を続けていくなかで、端緒をつかんだ。突然開けた視界の先には、際限なき世界が広がっている。そしてその目には、進むべき道がしっかりと映っている。

あとはその足で一歩ずつ、理由を蓄えながら進むだけだ。

(文中敬称略)

Text by 馬場康平(フリーライター)

 

 

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