海の重要基盤である海藻が絶滅する恐れ
海藻が群生する藻場(もば)は魚介類の産卵や生息を支える「海のゆりかご」とされている。海藻は日本人が古代から食材として利用してきただけでなく、神事や信仰とも深く結びついている。その海藻を育む藻場が急速に失われつつある。
【フォトギャラリー】カジメの苗を植え付ける様子や、磯焼けの様子など他の写真を見る
神奈川県真鶴沿岸の海中の風景も、この10年程度で大きく変化した。藻場がいつの間にか消え、海底が「砂漠化」するとともに、暖かな水温を好む造礁サンゴが出現している。黒潮に乗って南方系の色鮮やかな魚が、神奈川県の相模湾まで北上している。
主な原因は、地球温暖化に伴う海水温の上昇のほか、冬場も活性が低下しないアイゴやブダイなどの魚が海藻を食べていることが挙げられている。海の透明度が向上する一方、プランクトンなどの養分が少なくなる「海の貧栄養化」の問題も指摘されている。
このまま放置すれば、海の重要な基盤である海藻が日本沿岸でやがて絶滅してしまう恐れがある。そうなると漁業や食文化に影響が出ることは避けられない。
こうした状況に歯止めをかけようと、今年1月、神奈川県真鶴町で横浜国立大学が中心となり、藻場再生の取り組み(MOBA Science Project)が始まった。MOBAには、Manazuru Ocean, Better Action(真鶴の海を、よりよくする行動)との思いが込められている。
1月11日には横浜国立大学と地元の岩漁業協同組合が共同主催し、真鶴町にある地域連携機構の臨海環境センターで初めてのワークショップが開催された。
海洋教育を実施するNPO法人ディスカバーブルーなどの協力のもと、こどもや保護者をはじめ、漁業関係者、ダイバー、研究者、博物館学芸員、学生など、合計約30人が集まった。
プロジェクトを立ち上げた背景について、横浜国大の髙山佳樹助教(33)は、「広大な海で取り組むには、皆の力を集めないと無理だと感じた」と話した。
さらに、藻場再生は主に漁業者と行政機関が取り組んできたが、「そもそも海は皆のものなので、誰もが参加できる場所を作った方が良いと思った」と説明した。

WACOCA: People, Life, Style.