中国が宇宙空間で初めて金属3Dプリント(積層造形)実験に成功したと、CAS Space(中科宇航)が発表しました。

発表によると、この実験はCAS(中国科学院)傘下の力学研究所が開発した回収型科学実験ペイロードを使用して行われました。ペイロードはCAS Spaceが開発したサブオービタル用宇宙船「Lihong-1(力鴻1号)」に搭載され、2026年1月12日に酒泉衛星発射センターから打ち上げられました。

酒泉衛星発射センターから打ち上げられた弾道飛行型回収宇宙船「Lihong-1(力鴻1号)」(Credit: CAS Space)【▲ 酒泉衛星発射センターから打ち上げられた弾道飛行型回収宇宙船「Lihong-1(力鴻1号)」(Credit: CAS Space)】高度約120kmで金属部品の造形に成功

発表によると、Lihong-1はカーマンライン(大気圏と宇宙空間の境界とされる高度100km)を超え、約120kmの高度に達した後、微小重力環境下で金属部品の自動造形が行われました。微小重力環境は300秒以上維持されたとのことです。

今回の実験ではレーザーを用いたワイヤー送給式の金属3Dプリント技術が使用されました。微小重力下での安定した材料供給と成形、全工程のクローズドループ制御、ペイロードとロケットの高信頼性連携といった課題を克服したとされています。

実験終了後、ペイロードカプセルはパラシュートで安全に着陸し、回収されました。研究チームは、溶融プールの動的特性、材料輸送、凝固挙動、宇宙でプリントされた部品の幾何精度や機械的特性など、貴重なデータを取得したと報告しています。

宇宙インフラ整備の重要な技術基盤に

CAS Spaceは今回の成功について、中国の宇宙金属積層造形技術が「地上での研究」から「宇宙での工学検証」という新たな段階へ移行したことを示すものだと述べています。

宇宙空間での金属3Dプリント技術は、将来の宇宙ミッションにとって重要な基盤技術とされています。宇宙船の部品を軌道上で迅速に製造・修理することが可能になれば、地上からの補給への依存を大幅に減らし、深宇宙探査や宇宙ステーションの長期運用、月面基地建設などにおけるミッションの持続性と回復力を高めることができます。

なお、Lihong-1には金属3Dプリント実験装置のほか、農業研究用のバラの種子も搭載されていました。CAS Spaceによると、Lihong-1は再使用可能な機体として開発が進められており、将来的には有人システムや緊急脱出システムの搭載により、低コストの弾道飛行型科学実験や商業宇宙旅行への活用が計画されています。

 

文・編集/sorae編集部

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