1月30日に今春のセンバツ出場校が発表される。近畿枠では奈良の公立進学校である郡山高が候補校に選出されている。例年、京大・阪大をはじめとした難関大に合格者を出す名門校で、昨秋大会では県大会でベスト4に入るなど活躍を見せた。躍進のウラにはどんな理由があったのだろうか。《NumberWebレポート全3回の3回目/最初から読む》

圧倒的な戦力の私学…普通の公立校はどう戦う?

 郡山高校にとって最後の甲子園となる2000年から、夏に限って言えば13年の桜井高校、18年の奈良大附属以外は、智弁学園と天理がともに11回の出場と奈良の覇権を二分する。

 この2強と郡山の力関係について、監督の岡野雄基は冷静に俯瞰している。

「天理と智弁の力が10だとしたら、うちは8もないと思います」

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 8を郡山の上限値だとすれば、年によっては7もあれば6もある。明確な力の差があるとはいえ、「コツコツと積み重ねられる努力型」と郡山の特性を分析する岡野は、そういうチームだからこそ挑戦し甲斐を見出す。

 その声色を聞き取れば、それが決してひがみでも強がりでもないことがわかる。

「うちにすごい選手がおったらいいんでしょうけど、別に天才がいてほしいとも思わないし。コツコツとできる子が多いからこそ、力が10の相手に対して8とか7でもその差を埋められるというか、挑み方を考えられるというか。そこが野球の捉え方や勝ち方、人間力にも繋がっていくと思っているんで」

 大きな力に接近し、凌駕するための下地。ひとつに毎日のように行われる豊富なランニングメニューや、フィジカルトレーニングによって鍛え上げられる走塁がある。

 ウォーミングアップから走り方を意識させ、明確な目標設定のあるタイム走では、岡野は強豪の名を上げては選手の尻を叩く。

「間に合わないとわかってても、0.01秒でも早く走らな。そこで諦めたら、試合でも力を出し切れんのとちゃうん?」

「タイムにギリギリ届きそうやから頑張るじゃなくて、ベストを更新するくらいで走らな一生、天理、智弁に勝てへんぞ!」

 前へ、前へ。

 試合でのその意識は、果敢に次の塁を狙う姿勢にも結び付く。これは、甲子園通算12回の出場と、郡山を奈良の強豪へと押し上げた、元監督の森本達幸が築き上げたチームの伝統と言っていいだろう。

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