対米投融資、人工ダイヤ生産事業が有力に 「第1号」は複数案件=関係筋

スイス・ダボスで1月22日撮影。REUTERS/Denis Balibouse

[東京 27日 ロイター] – 日米関税合意に基づく総額5500億ドル(約85兆円)の対米投融資について、人工ダイヤモンドを米国内で生産する計画が有力候補になっていることがわかった。人工ダイヤは半導体製造などに必要な経済安全保障上の重要物資。両政府は発電関連事業など複数のプロジェクトと合わせて「第1号案件」として発表したい考えで、3月下旬をめどに検討している高市早苗首相の訪米を待たずに発表する可能性もある。

交渉を知る複数の関係筋が明らかにした。関係筋の1人は「米国は人工ダイヤの国産化を進めたい考えだ。日本企業が関与することで中国に頼らない日米のサプライチェーン(調達網)づくりにつなげたい」とロイターに説明した。複数の関係筋によると、人工ダイヤの案件は、ダイヤモンド採掘・流通の世界最大手デビアス社のグループ会社エレメントシックス・ホールディングス(ESH)が関わる。

人工ダイヤは半導体の切り出しや自動車・電子部品などの研磨に使われる経済安保と切り離せない重要物資。現在は主に中国で製造されているが、レアアース(希土類)と同様に輸出管理対象と位置付けられており、日米両国にとって安定的な確保が課題となっていた。米国の内製化に日本企業が買い手や技術協力などの形で関与することで、サプライチェーン強化の日米連携を示すことにもつながる。

日米両政府は昨年10月に発出した「日米間の投資に関する共同ファクトシート」に、ESHが絡むプロジェクトとして「高圧・高温によるダイヤモンド砥粒製造施設の建設。日本のサプライヤーやオフテイカー(買い手)による関与を検討」と記載。想定する事業規模は5億ドルとしている。

このほか、「第1号」には大規模な発電プロジェクトも含まれる見通しだ。複数の関係筋は同事業への日立製作所 (6501.T), opens new tab の参画を想定していると認めた。関与の仕方や想定する投融資額はわかっていない。ロイターは今月、ソフトバンクグループ(9984.T), opens new tab が絡むデータセンター建設の大規模インフラプロジェクトが最終候補に残っていることも伝えている。

経済産業省はロイターの取材に「現時点で決まっていることはないのでコメントできない。速やかな案件組成に向けて米国と協議しているところだ」(通商政策局米州課)とした。 日立は「日米両政府とさまざまな議論をしているが、詳細については回答を控える」とコメント。ESHは「人工ダイヤモンドが多くの産業分野を支える上で重要な役割を果たしていることは認識しているが、現時点でいかなるプロジェクトについても正式な合意は締結されていない」とした。米商務省と在日米国大使館にもコメントを求めたが、現時点で回答を得られていない。

一方、トランプ米大統領は26日、交流サイト(SNS)を通じ、韓国製品の輸入関税を一部25%に引き上げると表明した。「韓国の立法府は米国との(貿易)協定を守っていない」と非難するとともに、 「韓国の立法府は、彼らの特権であるわれわれの歴史的な貿易協定を実行していないため、私はここに、韓国に対する自動車、木材、医薬品、その他全ての相互関税を15%から25%に引き上げる」としている。

経産省によると、日米の投融資案件を絞り込むための協議委員会はこれまでに計4回開催された。日本側からは経産省、外務省、財務省、国際協力銀行(JBIC)、日本貿易保険(NEXI)、米側からは商務省、エネルギー省などが参加している。そのうち2回には赤沢亮正経産相とラトニック米商務長官ら閣僚が出席した。米側だけで構成する投資委員会による協議を経て、トランプ氏が案件を最終的に決定することになる。

(鬼原民幸、山崎牧子 取材協力:John Geddie 編集:橋本浩、久保信博)

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鬼原民幸

2025年6月からロイターで記者をしています。それまでは朝日新聞で20年間、主に政治取材をしてきました。現在、マクロ経済の観点から日々の事象を読み解く「マクロスコープ」の取材チームに参加中。深い視点で読者のみなさまに有益な情報をお届けしながら、もちろんスクープも積極的に報じていきます。お互いをリスペクトするロイターの雰囲気が好き。趣味は子どもたち(男女の双子)と遊ぶことです。

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