エディオンスタジアム広島 写真:Getty Images
Jリーグでは近年、各地でサッカー専用スタジアムの建設や本拠地移転が相次いでいる。観戦環境の向上や集客増、地域活性化といった成果が注目される一方で、新スタジアム開業の陰で静かに役割を終えた「旧ホームスタジアム」の存在に目を向ける機会は決して多くない。
サンフレッチェ広島は2024年にエディオンピースウイング広島へ移転し、V・ファーレン長崎は同年、長崎スタジアムシティ内の新スタジアムを本拠地とした。京都サンガも2020年に新スタジアムへ移行している。だが、クラブが去った後の旧スタジアムは、維持管理や活用方法という新たな課題を抱える公共施設として、自治体と地域に残されている。
ここでは、広島・長崎・京都の3クラブの例を中心に、新スタジアム開業後の旧ホームスタジアムが現在どのように使われているのかを検証し、本拠地移転後における施設活用の実態と課題を探る。
エディオンスタジアム広島 写真:Getty Images
サンフレッチェ広島の旧ホーム、広島ビッグアーチ
サンフレッチェ広島の旧ホームである広島ビッグアーチ(エディオンスタジアム広島/正式名称:広島広域公園陸上競技場、現・ホットスタッフフィールド広島)は、1994年のアジア大会および1996年の広島国体を見据えて1992年に開場した。収容人員は約3万人の陸上競技場で、Jリーグ創設期以降、長年にわたりクラブの本拠地として使用されてきた。1992年に開催されたAFCアジアカップでは、主要会場の1つとして日本代表初優勝の舞台の一端を担っている。
2024年のエディオンピースウイング広島開業に伴い、サンフレッチェ広島の公式戦は新スタジアムへ移行した。一方、旧スタジアムはネーミングライツ契約により「ホットスタッフフィールド広島」と名称を変え、現在も広島広域公園内の主要施設の1つとして維持・管理されている。
現在の同施設は、多目的スポーツ施設として稼働している。日本陸上競技連盟の第1種公認競技場であり、各種陸上大会をはじめ、市民・県民を対象としたスポーツイベントやアマチュアサッカー大会などに幅広く活用されている。
行政側は、同施設を地域スポーツ振興の拠点と位置付けている。指定管理者である広島市スポーツ協会は、隣接するテニスコートや補助競技場と一体での利用促進を進めているが、竣工から30年以上が経過し、施設の老朽化は避けられない。現時点では、大規模改修の具体的な時期や内容は明らかになっておらず、今後は維持管理コストの負担が課題となっている。
トランスコスモススタジアム長崎 写真:Getty Images
V・ファーレン長崎の旧ホーム、トランスコスモススタジアム長崎
V・ファーレン長崎の旧ホームであるトランスコスモススタジアム長崎(正式:長崎県立総合運動公園陸上競技場)は、諫早市の長崎県立総合運動公園内に位置する陸上競技場で、1969年の長崎国体開催を見据えて整備され、同年に開場した。2013年には改修・拡張工事が行われ、収容人員は約2万人。新スタジアムの開業に伴い、2024シーズンをもってJリーグのホームスタジアムとしての役割を終えた。
現在の同スタジアムは、陸上競技を中心とした多目的施設として活用されている。公式発表されているスケジュールによれば、県内大会や年代別サッカー大会、駅伝、競歩といったイベントが開催・予定されており、新スタ移転後も地域スポーツの拠点として一定の稼働を維持している。
新スタ移転後の活用策として、長崎県はスポーツ合宿の誘致や各種陸上大会の開催を推進している。また、V・ファーレン長崎も地域との関係性を重視し、状況に応じて旧本拠地を練習試合などの会場として使用するケースがある。

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