2026年1月26日 午前7時30分
【論説】杉本達治前知事の辞職に伴う福井県知事選は、無所属新人で元外務省職員の石田嵩人氏が接戦の末、無所属新人で元副知事、前越前市長の山田賢一氏、共産党新人で党県書記長の金元幸枝氏を抑え、初当選を果たした。
2019年知事選以来の保守分裂選挙となった。石田氏は福井市会の保守系会派が支援。後半、参政党が加わった。山田氏は自民党本部が支持し、立憲民主党、福井維新の会、国民民主党県連、公明党県本部が推薦した。
前知事のセクハラ問題による途中退場を受け、混乱した県政の立て直しやハラスメント問題の対応のほか、原子力政策や北陸新幹線などが争点となった。だが保守系2候補の政策に大きな違いはなかった。
35歳の石田氏は出馬表明直前まで外務省に勤務。政治手腕は未知数ながら、「決断と実行力を持って県政を前に進める」と熱意を訴えた。若い世代や無党派層へ浸透するとともに県政の「刷新感」を求める幅広い有権者の支持を得たとみられる。山田氏は市長や副知事を務めた実績を踏まえ、県政の緊急事態への「即戦力」をアピール。激しく競ったが及ばなかった。
セクハラ問題の調査報告書は、被害を通報しにくい県庁内の組織風土や内部通報体制の機能不全などを指摘した。石田氏は特別職も対象にしたハラスメント防止条例を早急に制定するとする。組織改革は一朝一夕ではなし得ない。職員の能力が発揮できる組織への再生を着実に果たしてほしい。
北陸新幹線のルート問題も待ったなしだ。連立与党に加わった日本維新の会は昨年12月、16年に政府と当時の与党が決めた小浜・京都ルート以外を含むルート8案を提示。与党整備委員会の初会合で、再検証することで合意した。
同ルートの旗振り役の杉本氏はすでに不在だった。新知事は、沿線10都府県でつくる建設促進同盟会会長を担う。小浜・京都ルートの早期認可・着工に向け、これまで以上に県の立場を訴えていく必要がある。
原子力行政でも新知事は厳しい判断を迫られる。関西電力が美浜、大飯、高浜の各原発で計画する乾式貯蔵施設建設の事前了解を行うかどうか。美浜原発の敷地内では、次世代型へのリプレース(建て替え)に向けた調査も進む。核廃棄物を背負わされる将来世代の負担の見極めが必要になる。
人口減少と担い手不足は福井県でも深刻さを増す。石田氏も真っ先に取り組むとするが、問題の克服は容易ではない。地域の活力の維持や向上には人材の発掘・育成や企業の生産性向上は不可欠だ。若い世代を積極的に取り込んだ総力戦で活力ある福井県を実現してほしい。

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