日本で『ブルドッグ』を買いました

英国に住むリチャード・リーブさんが『ホンダ・シティ・ターボII』に興味を持ったきっかけは、ある原動機付自転車だった。そう、折りたたみ可能な50ccの『モトコンポ』だ。目的地で自由に移動する手段として、シティに積み込めるように設計されている。

1981年に発売されたシティは驚くほどコンパクトなモデルで、さまざまなバリエーションが登場したが、今日愛好家を惹きつけるのは希少なシティ・ターボIIだ。最高出力110psの1.2Lターボエンジンを搭載した750kgのスポーツモデルで、0-100km/h加速は8秒を切る。

リチャード・リーブさんのホンダ・シティ・ターボII。宮城ナンバー!リチャード・リーブさんのホンダ・シティ・ターボII。宮城ナンバー!    AUTOCAR

シティは創業者・本田宗一郎氏の息子であり、ホンダレーシング部門『無限』の創設者でもある本田博俊氏の発案によるものだ。

オークションでモトコンポを購入したリチャードさんは、次にシティ・ターボIIを手に入れたいと考えた。しかし、日本の代理店に購入を依頼するのではなく、自ら探し出すことに決めた。「ディーラーからではなく、個人オーナーから直接買いたかったんです」と彼は語る。

「飛行機のチケットを予約し、出発の2週間前に個人の売り手から連絡がありました。その人はシティ・ターボIIの熱狂的なファンで、このクルマをどうしても世に残したいと願っていたんです。2018年10月、東京で夕食を共にしましたが、彼のターボII(1985年登録。アグレッシブなボディキットから愛好家の間で『ブルドッグ』と呼ばれる)は20年間走行しておらず、日本最北端の北海道札幌市に保管されていました」

「夕食の席で、彼はグーグル翻訳を使いながら、走行距離10万kmのこのクルマを福島県にある国内屈指のホンダ・シティ専門店に持ち込んで整備すると約束しました。そして、その言葉通りに実行してくれたんです」

数年後に増車 こちらはカスタム中

「その後、クルマを輸出する前に、彼は桜の木の下で写真を撮りました。日本では桜は幸運と繁栄の象徴とされています。わたしが実車を初めて見たのは2019年、グリムズビー港でのことでした」

リチャードさんは急いで持ち帰ろうとはせず、まずシティ・ターボをトレーラーでイベント会場に運び込んだ。その希少性、レースで培った技術、ゲーム『グランツーリスモ』での主役級の扱いに観衆は熱狂したという。その後、リチャードさんは初めてのドライブに出かけた。

リチャード・リーブさんのホンダ・シティ・ターボII(2台目は改造中)。リチャード・リーブさんのホンダ・シティ・ターボII(2台目は改造中)。    AUTOCAR

「車高が高いので、レースでは横転事故が多かったんです」とリチャードさん。「乗っていると路面の凹凸も全部感じますが、エンジンは力強く引っ張ってくれる。同時代のメトロやフィエスタ、ルノー5と比べても、このクルマの品質や動作の精度は別次元です。乗るたびに笑顔になりますよ」

シティ・ターボを大いに気に入ったリチャードさんは、もう1台購入することを決意。すると驚くべきことに、英国で若い男性が売り出している個体を見つけたのだ。その男性は、自分でレストアする技術が足りないことから売却に踏み切ったという。リチャードさんは、この1台を「レーサーレプリカ」に仕上げる計画だ。日本にいる友人がオリジナルのボディキットの型を持っているそうだ。

取材時点で作業は半分ほど進んでいるが、完成すれば英国で非常に稀なモデルを2台も所有することになる。もちろん、それに合わせてモトコンポも揃えるはずだ。

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