人口減少問題に対して立場や世代を超えて対策を考える「人口戦略フォーラム」がこのほど高知市で開かれました。
このフォーラムから人口減少対策のカギとなる若者や女性の活躍や地方が生き残るためのヒントを考えます。

2026年1月16日、高知市の新来島高知重工ホールで開かれた「人口戦略フォーラムinこうち」は、産学官民が一体となって人口減少対策を考えようと県などが企画しました。
基調講演では、都市部の人々が地方に関わる「関係人口」の概念を提唱した実業家の高橋博之さんがその重要性を語りました。

■高橋さん
「コインの表・裏なんです、都市と田舎っていうのは。人口増加から人口減少にパラダイムシフトしたんだから、考え方、それから社会の仕組みを今まさに大きく変えなければならない時に来ていると思う。関係人口を増やしていく、都会の活力を地域に取り込み、地方のゆとりを都市にもたらす」

その後におこなわれたパネルディスカッションでは、高橋さんや濵田知事、人口減少対策を担当する城内実大臣などが参加。
城内大臣は、対策について「官僚主導ではなく、地方の関係者、特に若者や女性の声を対策に取り入れていく」と政府の方針を説明しました。

地方における人口減少の要因の一つが、若年層の都市部への流出です。
県の調査では、県内の企業・事業所約1380社のうち従業員の採用について「計画どおりにできなかった」または「応募がなかった」という回答が50%を超えています。

若い世代や女性の有識者によるパネルディスカッションでは、こんな意見が―

■柳原さん
「(県内の)中小企業の方々、明確にこれからの事業をどう作っていくかとか、どう成長していくのかとか、実際リアルに学生に話してきているのかというと、できない所があったりとか、(学生が高知に)残りたいと思っていても、働く場所が実際にまったく見えてないみたいな事が起こっている」

県内の学生と地元企業をつなぐインターンシップなどを企画する一般社団法人Conextureの理事・柳原伊吹さんは、学生に対する県内企業のPR不足を指摘しました。さらに「共働き・共育て」をテーマに議論が進み、地方における女性が働きやすい職場づくりに向けた課題については―

■のいち社会保険労務士事務所・白石瑶子代表
「育児介護・休業法の改正がどんどん進んでいって、休業というのを非常に制度上は取りやすくなっている。ただ、やっぱり話を聞いていたり現状を聞いていると、法令上はそこが当たり前っていう話でベースを作ってきているのに、そこに追いついていない、当たり前のところにすら到達していないよっていう企業が多くて―」

■地方女子プロジェクト・山本蓮代表
「キャリアも確立しながら、子育て・家事も全部やらないといけない。(女性が)すごくハードルを感じている。ジレンマの中にいると実感としてある。身近に働き続けている女性がいないと”地元ってそういう女性がいないから、自分はそうなれないんじゃないかな”と思って、(地方での就職を)選択肢すら上がってこないというのも実態としてある」

登壇者の一人である伊藤ちひろさんは、南国市の製造メーカー・栄光工業の社長をつとめています。
女性を含めた従業員のキャリアアップと働きやすい環境の両立に向けて、伊藤さんは2024年から会社に新しく「チーフ」職を創設しました。主任や係長といった従来の役職と比べて、仕事の負担を少なくさせ、ワークライフバランスを重視していて会社ではこれまでに6人が「チーフ」となりこのうち2人は女性だということです。

■伊藤さん
「チーフになった方の1人は、子育て中の女性、もう1人の女性は子育てされてないけど”よさこい命”の方です。だから、よさこいの練習ができなくなるのは無理というのがありまして、ずいぶん前だそうですけど、役職になるのを断っていましたが、”仕事もやりながら、プロジェクトリーダーもやりながら、この1年できたということをとても自信に思っている”と話してくれたので嬉しい」

フォーラムでは最後に、若者や女性が活躍し、暮らしやすい地域社会づくりや共働き・共育ての推進に取り組む「こうち宣言」がおこなわれました。

■濵田知事
「私たちは人口減少問題に目を背けることなく、一人一人が自分事として考え行動し、日本創生の実現に向けて挑戦します」

この日、会場には約700人が集まり、人口減少に悩む地方がこれから進むべき道についてパネリストと共に考えていました。

当日の様子は「人口戦略フォーラムinこうち」のウェブサイトからも閲覧できます。

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