2026年1月17日 午前7時30分
【論説】福井駅にほど近い福井市中心部の市東公園を建設候補地とする「福井アリーナ」は今年、実施設計に入る。ただ、県民の不安を完全に払拭できているとは言えないのが現状だ。官民合わせて整備費150億円に上る一大プロジェクトである。推し進める経済界をはじめ県や福井市には、持続可能な運営に向けた説得力ある設計理念や地域創生ビジョンを求めたい。
体育館がスポーツを「する」施設なのに対し、アリーナは「観(み)る」ことに主眼を置く。客席はコート全周を囲んで階段状に配置。最先端の音響や照明設備で非日常感を演出し、コンサートや企業の展示会など幅広い活用ができる。
持続性に欠かせない要件の一つが、高い稼働率だ。福井アリーナでは年間利用日数を296日と想定。本拠地となるバスケットボールBリーグ2部の福井ブローウィンズが使用するのは60日余りで、残る230日以上の利用方法は今のところよく見えない。
運営会社Fプライマルは、興行誘致実績のある企業などの力も借りて、大相撲の巡業やプロボクシング、コンサートや宿泊を伴う学会などの開催を考えているという。県が買い取る「県民利用枠」により、各競技の県大会決勝や北信越大会なども見込んでいるようだ。ただ、多くは週末中心の開催になろう。平日の需要開拓が重要になる。
2018年福井国体を機に建て替えられたセーレン・ドリームアリーナ(県営体育館)をはじめ、福井市体育館、さらにはサンドーム福井などとのすみ分けも課題となる。ほかにもアリーナと名が付く体育館も県内にいくつかある。この先、人口が減っていく中で、毎年の維持運営費がかかる県内「ハコモノ」の整理整頓は避けられなくなってくるのではなかろうか。
国の交付金やBリーグ改革を追い風に、全国各地でアリーナ建設計画が進む。2024年完成の「長崎スタジアムシティ」は長崎県出身企業を中心にアリーナとサッカースタジアム、ホテル、商業施設などからなる複合施設を整備。県内外から訪れる人たちに長崎の魅力や誇りを伝え、転出超過の抑制・脱却につなげようとしている。
今後、それぞれの都市の規模や地域ニーズに応じた個性あるアリーナが誕生していくのだろう。福井はどんなコンセプトで、どんな地域活性化の拠点を目指すのか。福井駅から歩きたくなる周辺環境整備も含め、具体的に目に浮かぶような設計に期待したい。

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