公開日時 2026年01月12日 16:35更新日時 2026年01月12日 17:47

再生可能エネ主体の脱炭素に暗雲 ドイツ、安定供給へ政策見直し

 新興企業が開発中の、余った再エネを蓄え需要に応じてグリーン水素の形で取り出す装置の試作機=2025年9月、ドイツ・ベルリン(共同)

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共同通信

 2023年4月に脱原発を完了したドイツで、再生可能エネルギーを主体とする脱炭素社会の実現に暗雲が漂っている。総電力量に占める再エネ比率は6割を占めるが、ロシアによるウクライナ侵攻でエネルギーの価格が高騰。先進国の中でも高い電気代が産業や家庭を圧迫している。メルツ政権は電力の安定供給を理由に政策を見直すが、化石燃料への依存度を高めると懸念も出ている。

 ライヒェ経済エネルギー相は昨年、前政権までの再エネ拡大を見直す方針を発表。「エネルギーシステムの信頼性や安定供給、価格、費用対効果を最優先に考えなければならない」とし、30年までに電力の8割を再エネで賄う従来の目標は維持しつつ、補助金の段階的廃止など導入ペースを遅らせる方針を示した。

 11年の東京電力福島第1原発事故も踏まえ、当時のメルケル政権が原子炉17基の全廃を決定。段階的に廃炉を進め、原発利用を終えた。温室効果ガス排出量を45年に実質ゼロにする高い目標を掲げる環境先進国だが、課題も浮上している。

 太陽光や風力による発電は、天候や時間帯次第で発電量が左右される。安定供給で期待されるのはガス火力発電だが、ロシア産ガスへの依存度を減らす中で価格は高騰し、国内の電気代を高止まりさせた。企業や家庭の不満が強まり、再エネ政策見直しや経済競争力強化の政策が支持を得ている。

 既存の発電所やパイプラインを改修するなどして燃焼時の二酸化炭素排出量が少ない水素との混焼に対応させ、将来的に再エネ由来の電力を利用して生産される「グリーン水素」へと切り替える構想もある。余った再エネを蓄え、需要に応じてグリーン水素の形で取り出す装置を開発する新興企業も登場している。

 世界自然保護基金(WWF)ドイツのビビアン・ラダッツ氏は「ガス火力の役割は、あくまでも再エネのバックアップ。化石燃料で安定供給する考えは、本来優先されるべき脱炭素化を遅らせる」と指摘している。(ベルリン共同)

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