新星とは、連星系において白色矮星が伴星から水素に富んだガスを奪い取り、その表面で熱核暴走反応を引き起こすことで発生する天文現象だ。突然の増光によって夜空に新しい星が現れたように見えることから、その名がついた。だが、爆発直後の噴出物は極めて小さくしか見えず、これまで天文学者たちは間接的な手法で初期段階を推測するしかなかった。

こうしたなか、ジョージア州立大学の高角度分解能天文学センター(CHARAアレイ)が近赤外線干渉計観測によって、2021年に発生した2つの新星の爆発初期の詳細な画像を取得することに成功した。複数の望遠鏡からの光を組み合わせることで、数ミリ秒角という極めて高い空間分解能を実現し、急速に変化する現象を爆発後まもない段階において高解像度で捉えたのだ。

「これは爆発する恒星から物質が放出される様子を間近で確認できる画像です」と、CHARAアレイの責任者を務めるゲイル・シェーファーは説明する。「こうした一過性の現象を捉えるためには、新たな観測対象が発見されるたびに夜間スケジュールを柔軟に調整する必要があります」

大きく異なる2つの新星爆発

シェーファーらの研究チームが観測したのは、へルクレス座新星「V1674 Herculis」とカシオペヤ座新星「V1405 Cassiopeiae」だ。V1674は観測史上最速級の新星のひとつで、発見から16時間未満で可視光のピークに達し、わずか数日で急速に減光した。一方のV1405は可視光のピークまで53日を要し、約200日間も明るい状態を維持したという。

ヘルクレス座新星「V1674 Herculis」による爆発から2.2日後(左)と3.2日後(中央)の画像。矢印で示されているように、2つの噴出流が形成されている。右側は爆発のイメージを表したイラスト。

ヘルクレス座新星「V1674 Herculis」による爆発から2.2日後(左)と3.2日後(中央)の画像。矢印で示されているように、2つの噴出流が形成されている。右側は爆発のイメージを表したイラスト。

V1674の画像は、発見からわずか2〜3日後に撮影された。そこには明らかに球対称ではない爆発の様子が写し出されている。北東と南西方向に向かう2つの噴出流と、それに対してほぼ垂直方向に伸びた楕円状の構造である。これは爆発が互いに相互作用する複数の噴出を伴っていたことを示す直接的な証拠だ。

分光観測でも、水素原子のバルマー系列に異なる速度成分が検出された。ピーク前の吸収線が約3,800km/sであるのに対し、ピーク後に現れた成分は約5,500km/sに達していた。

そのタイミングも無視できない。米航空宇宙局(NASA)のガンマ線宇宙望遠鏡「フェルミ」による高エネルギーのガンマ線の検出と同時期に、新たな噴出流が画像に現れていたのだ。異なる速度の流れが衝突することで強力な衝撃波が形成され、ガンマ線を放射していたのである。

V1405の結果は、さらに驚くべきものだった。ピーク時の最初の2回の観測では、中心に明るい光源があるだけで周囲に噴出物はほとんど見られなかった。中心部の直径は約0.99ミリ秒角で、距離に換算すると半径約0.85au(auは天文単位。1auは地球と太陽の間の距離)に相当する。

もし外層が噴発開始時に放出されていれば、分光観測から推定される速度で53日間にわたって膨張し、23〜46auの大きさになっているはずだという。実測値との大きな食い違いは、外層の大部分が50日以上経過しても完全には放出されていなかったことを意味する。つまり、新星の外層は可視光ピークまでの間、連星系全体を包み込む共通外層の段階にあったと考えられるわけだ。

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