「美しく儚い」を作画テーマとするRyoma Kashiwagi | SUPER FILM が切り取るモータースポーツの一瞬を、連載でお届けする。
25 – 27 Oct 2025
Autódromo Hermanos Rodríguez – Mexico City
Circuit length : 4.304 km / 71 Laps
Race distance : 305.354 km
Lap record : 1:17.774 / Valtteri Bottas ( 2021 )

メキシコの観客は陽気だ。「チェコは来年F1に戻ってくる。それまでは俺たちが支える」と言わんばかりにサーキットはいつもと変わらぬ熱気に包まれる。2015年に改装されて以来の新生サーキットで行われるグランプリは今年で10周年を迎えた。それまでの旧コースはF1屈指の名コースの一つとして1963年から多くのドラマを描いてきた。また標高の高いこのコースでは特殊なセッティングが要求される。そのような中で私たち日本人にとって特別なドラマは、1965年のリッチー・ギンサーによるホンダF1の初優勝が入ることは確実だ。この記念すべき2025年のメキシコグランプリに華を添えたのはそのホンダであった。彼らは日本からRA272を持ち込み古のV12をレッドブルの角田裕毅に託した。決勝日の午前中に行われたそのデモランは日本人とメキシコGPが特別な縁で結ばれていることを象徴するに充分な演出であった。

第20戦メキシコグランプリ、シグナルがグリーンに変わると早速トップ4台は混乱へと走っていくことに。グリッドから長いストレートを抜け1コーナーに差し掛かる頃には予選5番手だったレッドブルのマックス・フェルスタッペンがホンダの加速力を活かし一気にトップまで迫る勢いで突進してくる。フェラーリ2台は出足が悪く、そのためポールポジションのランド・ノリスの駆るマクラーレンを含めた車列はなんと4ワイドで1コーナーへ。フェルスタッペンはオーバースピード気味でエスケープゾーンを通過、シャルル・ルクレールとルイス・ハミルトンのフェラーリ勢の間でコースへ復帰。またメルセデスのキミ・アントネッリもその煽りを受けオープニングラップでタイヤを汚してしまうことになる。フェルスタッペンはその後も大いに暴れてコースの各所はラインを走行できないマシンで溢れかえるという混戦状態が続く。

チャンピオン争いの一角、マクラーレンのオスカー・ピアストリはトップを独走するノリスをとは正反対で、このレースも全く噛み合わない。ハミルトンがフェルスタッペンとのペナルティ消化とタイヤ交換を同時に行い、レースは折り返しに。所々で競争は繰り広げられてはいるが序盤とは違い、かなり玄人好みの展開でタイヤマネージメントが重要なレースへと変わる。残り周回数11周、ピアストリがようやく5位メルセデスのジョージ・ラッセルをオーバーテイクした時には4位を走るハースのオリバー・ベアマンすらも遥か彼方の存在で、今日はこれ以上のポイントを上げることは難しそうだ。

70周目。残り周回数1、ウィリアムズのカルロス・サインツのストップにより最終コーナーはイエローフラッグ、そしてVSCへ。ルクレールとフェルスタッペンの2位争いは一時休戦となるも最終ラップの中盤でVSC解除。スタジアムセクションへ戻る頃には2台の差はコンマ7秒ほどで、もはや王者に為す術は残されていなかった。

優勝は圧倒的な強さでレースを制したノリス、ルーキーのベアマンが自身最高位の4位に入り、ピアストリは5位という結果に。

<Starting Grid>

<Result>

a Ryoma Kashiwagi film | 2025
RED KOMODO X | LEICA Apo-Summicron M50mm, Elmarit M90mm

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