
特殊、SNS悪用詐欺の県内被害額 10億円超える 25年暫定値
2025年に県内で認知された特殊詐欺と、交流サイト(SNS)を悪用したSNS型投資・ロマンス詐欺の被害額が、暫定値で合わせて10億円を上回ったことが31日、県警への取材で分かった。特殊詐欺は統計開始以降、初めて5億円を超えて過去最多となり、SNS型詐欺も1件当たりが高額で、規模が大きくなったとみられる。県警は被害防止とともに、犯行グループの摘発にも力を入れている。
県警生活安全企画課によると、25年11月末現在の被害状況は、特殊詐欺が100件計4億8816万円で、SNS型詐欺は54件計4億8660万円となっている。まだ統計上まとまっていないが、同年12月以降、県警が認知した被害は、少なくとも特殊詐欺が4件計1747万円、SNS型詐欺は9件計3611万円で、両方を合わせると、年間では167件計10億2834万円以上になるとみられる。
25年は特殊詐欺だけでも104件計5億563万円(暫定値)で、統計を開始した04年以降最多となり、24年から統計を取り始めたSNS型詐欺は63件計5億2271万円(同)になる見込み。特殊詐欺はこれまで、24年の約3億2155万円が最多で、SNS型投資・ロマンス詐欺は24年の約5億3757万円が最も多い。
特殊詐欺は息子など親族の他、警察官や検察官を装って、事件に関与したかのように不安をあおり「口座の現金を確認する」などと、うその話をして現金を詐取する手口が目立つ。25年に確認された被害の1件あたりの最高額は6800万円。SNS型投資詐欺では、副業などに勧誘し、株や暗号資産などへの投資名目でだまし取る手口が増えている。メッセージなどを交換する中、好意を抱かせ、投資費用や結婚資金などとして現金や電子マネー、暗号資産をだまし取る、SNS型ロマンス詐欺も相次いでいる。25年は計約1億3千万円をだまし取られた被害が確認されている。同課の担当者は「1件当たりの被害額が高額で、深刻な状況。手口は巧妙化し、犯行態様も変化しており、注意が必要だ」と警戒を呼びかけている。
県警「山形方式」で捜査強化
県警は特殊詐欺の捜査で、2008年から東京都内に捜査員を常駐させる独自の「広域追跡捜査班」を編成し、首都圏などで捜査を展開した。全国に先駆けた「山形方式」で、実績も挙げてきた。ただ犯行グループは近年、海外に拠点を置くことが主流で、より広域かつ国際的な捜査が必要となっている。
山形方式の発展的手法として、警察庁は昨年4月、「特殊詐欺連合捜査班」(通称・TAIT)を設置。山形県警を含む全国の捜査員が首都圏を中心に活動する500人規模の部隊を編成した。特殊詐欺は暴力団など反社会的勢力の資金源とされ、強盗事件なども起こしている匿名・流動型犯罪グループ(匿流)が関与している。警視庁に専従捜査を行う「匿流ターゲット取り締まりチーム」(略称T3)も設置し、本県など全国から捜査員を集め態勢を強化している。
類型は異なるが、本県では外国人の犯行グループが関与しているとみられるボイスフィッシング詐欺事件も発生。特殊詐欺、SNS型詐欺とともに、巨額の被害となっている。県警は捜査部門横断型チーム「Σ(シグマ)」などで、これまで培ってきた手法を生かし、全国の警察と連携して摘発を強化している。

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