2025年12月30日 午前7時30分
【論説】福井県高浜町山中の五色山公園で栽培されている「うちうらレモン」。同町内浦地区の特産を目指した取り組みは嶺南地域のレモン生産の先駆けだが、県内外への知名度はまだ高いとは言えない。栽培面積の拡大、収穫量のアップとともにほかの生産地との差別化を図りブランド力を高めたい。
地元住民でつくる広瀬山自然公園管理組合の有志で2015年に「うちうらレモン生産組合」を立ち上げた。公園内の畑で試験栽培を行い、初年から果実を付け上々の滑り出しだった。5年後の20年から本格的に出荷を開始。現在は約20アールの畑で310本ほどの木を育てている。
山中区がある内浦地区は若狭湾に面した地域。内藤達雄組合長によると、50~60年前ごろから各戸で自家消費用にミカンを栽培していたが、サルに荒らされる被害が相次ぎ伐採したという。代わりにかんきつ類栽培の経験を生かした特産品を目指して町からレモン栽培の提案を受けた。
レモンは寒さや乾燥に弱いとされるが、栽培にあまり手が掛からない果実という。生産組合は寒さに強い品種を選び栽培しており、農薬も可能な限り控えている。肥料に竹を砕いたチップを用いるなど、安全性に配慮している。ただ組合員は5、6人で70代が中心。将来的には担い手の育成も必要になるだろう。
こうした「うちうらレモン」の後を追うように嶺南地域ではレモン栽培が拡大している。県嶺南振興局によると、嶺南6市町合わせて個人農家を含む約30事業体が約3ヘクタールの畑で栽培、年間約3トンの収穫がある。詳細な調査データはないが、特に若狭町上中地域以西では栽培面積が急拡大している。23年は50アールだった畑が24年には76アールに広がり25年には124アールと、2年間で2・5倍に拡大した。美浜町や若狭町三方地域でも今後、栽培面積の拡大が見込まれるという。
レモンは道の駅などで直販しているほか、お菓子やジュースなど加工品にも使われている。レモンの「ヘタ」を活用して作ったハンドソープもある。11月には県の企画で飲食店事業者や栽培農家が集まり研修会が開かれ、加工品開発へのヒントを探った。
レモンの国内生産量は1万トン前後。冬の収穫後に冷蔵し需要が高まる夏季への供給サイクルを確立している広島県がシェア約50%を占める。食の安全性への関心の高まりで国産レモンに注目が集まっており、「うちうらレモン」は日本海側では珍しいレモン栽培の事例として注目を集めそうだ。

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