面積世界第6位(排他的経済水域)、しかも北からの親潮やリマン海流といった寒流、南からの黒潮や対馬海流の暖流が交錯、世界でも名だたる好漁場として高いポテンシャルを持つ日本の海。その恩恵にあずかり、わが国では古くから豊富な魚介類を獲り、食し、和食文化を形作ってきた。

その日本の魚食・漁業がいま、危機に瀕している。

1990年代前半まで世界一を誇っていた漁獲高もいまではベスト10圏外から転落、すでに漁業大国とは言えない現状になっている。

なぜこのような事態に陥っているのか?

日本の漁業を30年以上取材し続けているベテラン記者が、新刊『国産の魚はどこへ消えたか?』(講談社+α新書)でそのリアルを明らかにする。 

『国産の魚はどこへ消えたか?』連載第26回

『「獲ったもの勝ち」で小型化に苦しむ日本産サバを横目に、絶好調なノルウェー産サバの新ブランド“サバヌーヴォー”の魅力』より続く。

アフリカ諸国で人気、日本産のサバ

ノルウェー産と対照的に小型で脂の乗りが良くない日本のサバは、多くが飼料や肥料などに回されているほか、海外にも輸出されている。2024年の貿易統計によると、冷凍サバの輸出国は、ベトナムやタイを筆頭に、エジプト、ナイジェリア、ルワンダ、ガーナといったアフリカへも渡っている。

ベトナムやタイでは自国消費もあるようだが、サバ缶の原料として日本のサバを輸入することが多い。それを日本が逆輸入するといったケースも含まれているようだが、アフリカの国々では、おいしく日本のサバをいただいているという話を聞いた。

日本の商社によると、アフリカでもサバは人気のある魚であり、かつてはノルウェーなどヨーロッパからの輸入が主体だったという。ところが、ノルウェーをはじめ欧州諸国の大西洋サバに関する資源管理や、日本をはじめとした需要増に伴って価格が上昇。アフリカ諸国が大西洋サバを買いづらい状況になっているのだという。

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そうした事情から、日本産の価格が安い小サバに目が向けられ、大量に買い付けて、アフリカでのサバ需要を満たしているという。「レストランなどで日本のサバが振る舞われているほか、燻製にした日本のサバを焼いて、日常の食卓で味わっている」(商社筋)と話す。

これが日本のサバのすべてではないとはいえ、日本人が大量のノルウェーサバを第三国経由も含めて輸入し、それとは知らずに味わい続けている半面、国産サバはアジアの国々で缶詰にされたり、アフリカではおいしく調理され、食卓に上ったりしている現状を知ると、少々複雑な気持ちになる。

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