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AFP

掲載日

2025年12月29日

ファストファッションや中古(セカンドハンド)市場の圧力を受け、フランスのプレタポルテ(既製服)業界は失速しており、2025年を通じて倒産、管財人管理下入り、清算が相次いだ。それでも専門家は、ブランドのDNAへの回帰、イノベーション、そして上位価格帯へのシフトを梃子に、回復の可能性は十分あると見ている。

12月中旬、IKKSはSaint JamesとSantiago Cucciの両者によって共同で買収された12月中旬、IKKSはSaint JamesとSantiago Cucciの両者によって共同で買収された – IKKS

年の瀬が近づくなか、IKKSは経営権が移ったばかりだが、従業員の半数を削減する見通しだ。JOTT(Just Over The Top)は管財人の管理下に置かれ、Anne Fontaineの保全計画は承認された。Camaïeu、Kookaï、Jennyfer、André、San Marina、Minelli、Comptoir des Cotonniers、Princesse Tam Tam、Kaporalなど、この分野で苦境にある、あるいはすでに姿を消したフランス企業は枚挙にいとまがない。

苛烈な「貧困化」と「没落」

議会報告書によれば、2024年にはフランスで衣料品ブティックが約1,500店閉店した。繊維産業連盟(Union des Industries Textiles)によると、1970年代に40万人いた労働者数は、現在では6万人まで縮小している。ただし、この数字には店舗従業員は含まれておらず、全国衣料連盟(Fédération nationale de l’habillement)によれば、店舗従業員は2023年末時点で7万人だった。

オンライン販売への難しい移行やコロナ禍、インフレを乗り越えてきた伝統的プレイヤーは、いま中古とウルトラ・ファストファッションとの競合に直面しており、これは「深い地殻変動」だと、フランス・ファッション研究所(IFM)経済観測所のジルダ・ミンヴィエル所長は指摘する。IFMによれば、これら2つのチャネルは現在、売上額で13%、購入数量で約30%を占める。

老舗勢が揺さぶられる

ミンヴィエル氏はAFPにこう語る。「新規参入組が奪った市場シェアは非常に大きく、既存のプレイヤーにとってきわめて打撃だ。市場が活況なら、誰もが共存できたかもしれないが、現実はそうではない」。SheinやTemuの1アイテム当たりの平均価格は9ユーロ(従来の中価格帯の約3分の1)で、「購買力が弱い状況」において、これらアジア勢が苛烈な「貧困化」を招いている、と同氏は言う。

ファストファッションと既存勢の攻防は国会の場にまで及んでいるファストファッションと既存勢の攻防は国会の場にまで及んでいる – Assemblée nationale

「没落」の根源をたどるには、1990年代にまで遡る必要がある。ZaraやH&Mといった「第一世代のファストファッション」ブランドが登場し、「毎週コレクションを入れ替えて購買を促す」手法を打ち出した時代だと、哲学者でESCPビジネススクールのマーケティング教授であるBenoît Heilbrunnは語る。

生き残りに必要な明確なポジショニングと産業モデル

「フランスのチェーンはついていけなかったし、今なおついていけていない。産業モデルがなかったし、今もないからだ」と、ブランド専門家である同氏は指摘する。フランスで消費される繊維製品の97%は輸入だという。さらに、「フランスのテキスタイル・ブランドは長年、語るべきことがなかった」とも嘆く。「誰もイノベーションを語らず、誰もプロダクトを語らない」。

ファッションと小売の専門家であるFrançoise Clément氏も同調し、「コンフォートゾーン」にとどまり、プロモーションで消費者を買いに走らせようとしてきたものの、結果として「価値を生み出してこなかった」ブランドを指摘する。カルフールの元テキスタイル部門ディレクターでもある同氏は、ブランドが生き残るには自らの「ブランドの核(DNA)」に再接続し、「明確なポジショニング」を打ち出すべきだと説く。

低価格帯における「価格の死のスパイラル」

プレタポルテ市場は「砂時計」にたとえられる、と同氏は言う。上部(ラグジュアリーや「ヘリテージ」ブランド)はブランドの威信に支えられて堅調だ。一方、下部では価格の叩き合いが進み、「死のスパイラル」に陥りながらもなお一定の顧客をつかむ。そしてその狭間にあるミッドレンジこそが、いま「最も苦境にある」セグメントだ。

ミッドレンジのブランドは「多角化とプレミアム化」を進め、何よりファストファッションの模倣を避けるべきだとClément氏は語る。将来に向けては、「品質、訴求力、革新性、そして欲求喚起力」のバランスが不可欠で、その好例が「LacosteやAigle」、メイド・イン・フランスの生産に取り組むLe Slip Français、あるいは「アクセシビリティとイノベーション」を両立するDecathlonだという。衣料市場の危機は「不可避ではない」と彼女は強調する。巷の「悲観ムード」とは対照的に、「動き出すブランド」には「チャンス」がある。

BoF-McKinseyの年次報告書『The State of Fashion』は、いくつかの戦略領域を挙げる。人工知能の活用は不可欠であり、国際的な関税の変動という「乱気流」を見据えた生産拠点の分散、上位価格帯への移行(高付加価値化)、そしてセカンドハンドの取り込みだ。大規模な取り組みが求められる。

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