ゼレンスキー氏、和平案巡りトランプ氏との会談求める 領土問題など協議

記者会見に臨むウクライナのゼレンスキー大統領。2022年8月撮影(2025年 ロイター/Gleb Garanich)

[キーウ 24日  ロイター] – ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアのウクライナ侵攻終結に向けた米・ウクライナ高官協議を受けて和平案がまとまりつつあるとし、領土など繊細な問題に関してトランプ米大統領と会談したい意向を表明した。大統領府が24日、記者団に明らかにした。

ゼレンスキー氏は、先週末実施された米南部フロリダ州マイアミでの協議で20項目の和平案の最終化に近づいたとの見解を示し、「ウクライナ、米国、欧州、ロシアの間の戦闘終結に関する枠組み文書だ」と言及。「米国との首脳級会談の準備が整っている。領土問題などは首脳レベルで議論する必要がある」と指摘した。

ウクライナは米政権から当初提示された28項目の和平案の領土割譲や軍事面の制限を巡り修正を求めてきた。

修正案では、ウクライナは80万人の軍隊規模を維持し、米欧が安全の保証を提供するという。ゼレンスキー氏は「『有志連合』や停戦監視体制、ロシアの再侵略への対応策の支援を受けて、堅固なウクライナを実現できる」と主張。米ウ当局が戦後復興や投資に関する複数の文書の協議も進めているとした。

領土問題でロシアは東部ドネツク州全域からの撤退を求めている。ゼレンスキー氏は、ウクライナ側は現在の前線に基づく戦闘停止を提案しており、米国は妥協点を求め、非武装の自由経済地域の設置を検討していると指摘した。ロシア占拠地にあるザポリージャ原発の管理についても意見の相違がある。

ゼレンスキー氏は、20項目の提案はロシア側で検討され、その後に次の動きが決定されることになると述べた。

ゼレンスキー大統領が発表した20項目から成る和平案の要点は以下の通り。

ウクライナの主権が再確認される。ロシアとウクライナの間で、全面的かつ無条件の不侵攻協定を締結する。ウクライナには強固な安全の保証が提供される。ウクライナ軍は兵力80万人規模を維持する。米国、北大西洋条約機構(NATO)、欧州諸国は、NATO条約第5条に類似する形でウクライナに安全を保証する。ロシアは、ウクライナおよび欧州に対する不侵攻政策を必要な法令・批准文書で明文化し、議会下院で批准する。ウクライナは明確に定められた日付に欧州連合(EU)加盟を実現する。ウクライナに国際的な大規模開発案件が提供される。経済再建、復興、人道支援を目的とした複数の基金を設立し、総額8000億ドルを投入する。ウクライナは米国との自由貿易協定(FTA)締結を加速する。ウクライナは核不拡散条約(NPT)に基づき、非核国家であり続けることを確認する。将来的な領土を巡る取り決めが合意されれば、双方はこれを武力で変更しないことを約束する。和平合意締結後、ウクライナは可能な限り速やかに選挙を実施する。合意は法的拘束力を持つ。履行は「平和評議会」が監視し、議長はトランプ大統領が務め、ウクライナ、欧州、NATO、ロシア、米国が参加する。違反に対しては制裁が科される。全ての当事者が合意した時点で、全面停戦が即時発効する。

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