2025年12月11日に撮影されたノヴォロシスク港の入り口に設置された防護設備。Satellite image ©2025 Vantor.ウクライナは2025年12月15日、港に停泊していたロシアの潜水艦に、水中ドローンで攻撃をしたと発表した。新たに公開された衛星画像からは、爆発の後、ノヴォロシスク港で港湾施設の一部が損傷した様子が確認できる。また、同じ衛星画像は、ロシアがウクライナの攻撃に備え、事前に港の防御を強化しようとしていたことも示している。
新たに撮影された衛星画像によって、黒海にあるロシア海軍基地で、ウクライナのドローンがロシアの潜水艦を攻撃した後の被害状況が明らかになった。
この新たな衛星画像は、アメリカの衛星情報企業ヴァンター(Vantor)が2025年12月16日に撮影し、Business Insiderが入手したもので、黒海の東側、ロシア本土に面したノヴォロシスク港で、キロ型潜水艦のそばの岸壁の一部が損傷している様子を示している。
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ウクライナの治安機関であるウクライナ保安庁は、2025年12月15日、港に停泊していたロシアの潜水艦に対して、水中ドローンを使った前例のない攻撃を行ったと発表した。ウクライナ政府は攻撃の映像を公開し、港内で大規模な爆発が起き、ロシアの潜水艦が損傷を受けて事実上使用不能になったと説明している。
2025年12月11日、ノヴォロシスク港に停泊するキロ型潜水艦。Satellite image ©2025 Vantor.
2025年12月16日、基地の港の一部が損傷している様子が確認できる。Satellite image ©2025 Vantor.
しかし、2025年12月15日、ロシア国営メディアは、ロシア海軍黒海艦隊の話として、この攻撃では潜水艦に損傷はなかったと伝えている。
衛星画像では、潜水艦を見ても確認できるような損傷は見当たらないが、水面下で被害が出ている可能性もあり、今回の作戦がどこまで成功したのかを判断するのは難しい。
ロシアのキロ型潜水艦は、1980年代から運用されてきたディーゼル・電気推進式であり、ウクライナへの攻撃に使われる巡航ミサイル「カリブル(Kalibr)」を発射する役割を担っているため、ウクライナにとっては極めて重要な攻撃対象となっている。
新たな衛星画像からは、港の入り口に浮体式バリアが設置されていることも確認できる。このバリアは、ウクライナの海上ドローン攻撃からロシアの軍艦や港湾インフラを守るために、ロシアが用いてきた対策だ。しかしこの種の防御は主に水上からの脅威を想定したもので、水中ドローンは港内への侵入に成功し、爆発を引き起こしたと見られている。
ウクライナは戦争が始まってから現在までを通して、爆発物を積んだ海上ドローンや長距離ミサイルを使って、ロシアの軍艦や各種船舶を数十隻にわたって損傷、破壊してきている。
2025年12月16日の港の防護設備。Satellite image ©2025 Vantor.
ウクライナが、非対称的攻撃(戦力差を補うためにドローンやミサイルを使って弱点を突く攻撃)を続けてきた結果、ロシアは占領下にあるクリミア半島に長年置いていた黒海艦隊の本拠地を、ウクライナから離れた(ロシア本土側の港である)ノヴォロシスクへ移転せざるを得なくなった。しかしウクライナは、このノヴォロシスク港についても攻撃が可能であることを引き続き示している。
今回のウクライナの攻撃は、黒海艦隊を狙った最新の事例であり、ドローン戦争の新たな段階を示すものと見られている。ウクライナはこれまで主に水上を航行する海上ドローンを使ってロシアの軍艦を攻撃してきた。
今回、水中ドローンを使用したことは、従来の機雷や魚雷と比べて、ウクライナの攻撃能力が大幅に拡張されたことを示しており、ロシア海軍黒海艦隊にとって新たな脅威となり得る。
アメリカのシンクタンク、戦争研究所(Institute for the Study of War)の紛争分析官は2025年12月15日に公表した戦況分析の中で、「ロシアは当初、キロ型潜水艦をクリミアに配備していたものの、ウクライナによる攻撃が続いたため、数年前にこれらをノヴォロシスクへ移動させた」と指摘している。
最近分析官らは、「今回の水中ドローン攻撃は、ウクライナ軍が無人兵器の能力を継続的に近代化し、運用を洗練させていることを示している。その結果、ロシア軍がこれまで安全だと考えていた距離や場所にあるロシア内の軍事目標にも攻撃できるようになった」と話した。

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