
ハン・ハクチャ総裁(c)news1
【12月22日 KOREA WAVE】韓国の宗教団体、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)のハン・ハクチャ(韓鶴子)総裁が、自身の自伝の中で、現職の地方自治体の首長から「敬拝動画」が送られてきたことを明かしていた。ハン・ハクチャ氏は現在、不正な政治資金提供の疑いで警察の捜査対象となっており、彼女の宗教的主張と政界との癒着の実態が自伝に詳細に記されている。
自伝『人類の涙をぬぐう平和の母』によると、ハン・ハクチャ氏は自らを「天が準備した平和の母、独生女」と呼び、キリストに代わる救世主としての使命を担っていると主張している。ハン・ハクチャ氏は、朝鮮半島に生まれたムン・ソンミョン(文鮮明)氏と共に神から選ばれた存在であり、人類を愛で導く神の意志に従う存在だとしている。
このような宗教的権威の演出に加え、ハン・ハクチャ氏は自らの政治的活動についても積極的に記述している。世界平和国会議員連合(IAPP)の創設を通じて政治家らとの関係を築いたとし、地方自治体においても各種イベントを通じて首長らとの関係を深めたと語っている。
具体的には、全羅南道のある郡で開催されたイベントに現職の郡守(町村長)が参加し、祝福されたカップルから三組の双子が誕生したことに感銘を受け、「今日のような人口減少時代において祝福式こそ真の愛国行為」と称し、感謝の気持ちを込めてハン・ハクチャ氏に敬拝する様子の動画を送ったという。ただし、この郡守はメディアの取材に対し「映像を送った記憶はない」と述べている。
また、自伝では政治界との接触を担ったとされるユン・ヨンホ世界本部長(当時)にも言及されている。ユン・ヨンホ氏はムン・ソンミョン氏の死後、霊的啓示を受けたとして「金の鍵3本」を授かったと記しており、これを機にハン・ハクチャ氏の寵愛を受けたとされる。この三本の鍵はセネガル、ジンバブエ、南アフリカにおける教団活動の復興を象徴するものとされ、ハン・ハクチャ氏がユン・ヨンホ氏に指示してアフリカの政界に選挙資金を提供したとする特別検察の起訴内容とも一致する。
さらに自伝では、教団が長年主導してきた「日韓海底トンネル構想」についても「我々の時代に果たすべき最後の課題」として重要視されている。ハン・ハクチャ氏は、地球上の陸地をすべて繋げることで平和を実現できると述べ、トンネル建設によって日本と韓国の歴史的和解と経済的中心地化が可能になると主張している。教団は1981年から「世界平和高速道路」事業を展開し、ベーリング海峡トンネル構想なども並行して推進してきた。
現在、教団は政治的影響力を行使するために不正資金を提供したとして捜査を受けており、自伝に記された内容はその一端を示すものとなっている。ハン・ハクチャ氏の宗教的主張と政治的関与が密接に絡み合った実態が明らかになったことで、今後の捜査や政界への波紋はさらに広がる可能性がある。
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News

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