<b>武器の出土場所</b><br>スペイン南部アルブニョールの「コウモリの洞窟」内部。ヨーロッパでこれまでに発見された中で最古となる、後期石器時代の矢の一部や弓弦が出土した。(BLAS RAMOS RODRÍGUEZ/PROYECTO MUTERMUR)

武器の出土場所
スペイン南部アルブニョールの「コウモリの洞窟」内部。ヨーロッパでこれまでに発見された中で最古となる、後期石器時代の矢の一部や弓弦が出土した。(BLAS RAMOS RODRÍGUEZ/PROYECTO MUTERMUR)

 動物の腱(けん)で作られた弓の弦(つる)と矢の破片を新たに分析した結果、新石器時代の弓矢の歴史が書き換えられようとしている。

 これらの遺物は、スペインのアルブニョールにある「コウモリの洞窟」で19世紀に鉱山労働者たちによって発見されたものだ。近年、考古学者チームによって、顕微鏡観察と生体分子解析を組み合わせた前例のない手法による調査が行われた。

 弓の弦は7000年以上前のもので、エッツタール・アルプスで発見された凍結ミイラ「アイスマン(エッツィ)」の武器よりも2000年以上古いことが判明した。現在のヨーロッパにおける動物由来の弓弦の歴史を大きく書き換える発見だ。

 2024年に発表された研究結果は、イベリア半島における新石器時代の弓作りが高度な水準にあったことを示す、驚くべき知見を新たにもたらしている。(参考記事:「凍結ミイラ『アイスマン』発見から30年、明らかになった10の事実」)

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弓の謎に迫る

 アルブニョールの「コウモリの洞窟」は、グラナダに近いシエラ・デ・ラ・コントラビエサにある。急峻な谷の端に位置し、19世紀初頭には家畜の収容場所として使われていた。

 その後、1857年に鉱山労働者が洞窟の岩に鉛が豊富に含まれていることを発見した。採掘のために岩を取り除いていたところ、細長い空間が現れ、そこで人骨と弓の道具の遺物が見つかった。

 1860年代に考古学者がこれらの遺物を回収し、マドリッドとグラナダの考古学博物館に収蔵した。近年、スペインのアルカラ大学の考古学者であるフランシスコ・マルチネス・セビリヤ氏率いる発掘チームが弓弦を発見し、鉱山労働者が見つけた弓関連の遺物を詳しく調査することになった。その結果は従来の説を覆すものだった。

次ページ:矢や弓弦の写真も、狩猟以外の用途の可能性

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