
「なまぬるい試合なら私を批判して」 レノファ山口・小田切道治新監督が描く復活プラン 「1対1に負けないチーム作り」
山口市の維新みらいふスタジアムで19日、レノファ山口FCの新監督就任会見が開かれました。今シーズン、7勝16敗15分けの19位という成績で初のJ3降格が決まったクラブに、新たな指揮官として小田切道治監督(47)が就任しました。
小田切監督は富山県出身で、2022年からカターレ富山の監督を務め、2024年シーズンにはJ2昇格に導いた実績を持ちます。今年6月からはJ3の奈良クラブで監督を務めていましたが、このたびレノファ山口の再建という大きな使命を背負うことになりました。
このすばらしいクラブでサッカーができる喜び
会見で小田切監督は「このすばらしいクラブでサッカーができる喜びをすごく感じています」と就任への思いを語りました。そして「必ず優勝して、最短でJ2復帰を考えています」と明確な目標を掲げました。
監督は自身の強みについて問われると「選手をしっかり見ながら競争させるということが1番強みだと思っています」と、選手との向き合い方に自信。性格について「負けず嫌いですね」と断言し「その気持ちは初日の練習から見せていきます」と力強く宣言しました。
富山での成功体験を山口で再現
小田切監督がカターレ富山で実現したJ2昇格の経験は、レノファ山口にとって大きな希望となります。
J3の難しさについて聞かれた監督は「何年か前だとやはり上位チームが分かれるようなリーグ構成でしたけども、近年は本当に順位に関係なしに、どの試合も本当難しいゲームです」と分析しました。
「もう1試合1試合がすごく大事なゲームになると思っています」J3の厳しい戦いに対する認識、そして一戦必勝の重要性を強調。経験に基づいた現実的な戦略観が、レノファ山口の復活への道筋を示しています。
「1対1に負けない」サッカー哲学
「1対1に負けないこと。その中でアグレッシブに戦いながら、守備から攻撃ってのを基本にしながら、見ている方の心を動かす、最終的には美しいサッカーができればいいかなというふうに考えています」
J3を勝ち抜く上で最も重要なことは「フィジカルベースのところ、最低限のところは絶対必要かなと思ってます」と、基礎体力の重要性を訴えました。
レノファ山口への印象と改善点
レノファ山口について、小田切監督は「すごく洗練されたパスワークが綺麗なチーム」という過去の印象と「今シーズンの戦いを見直してる時に、すごく前への推進力があって、非常に面白い選手が多いなっていう印象」と現在を評価。改善点については、攻撃面で「もう少し意図的にボールを動かす場面もあっていいのかな」としながらも「ただそこに触れすぎちゃうと今持ってるゴールへの推進力ってのは薄れると思うので、その辺はバランス見ながらやりたい」と慎重な姿勢を見せました。
守備面では「自陣のゴール前のところ、個人戦術の徹底、そこは不可欠じゃないかな」と課題を明確にしました。
クラブ側の期待と選定理由
佐藤謙介強化部長は、小田切監督を選んだ理由について「まずは勝つことへのこだわりを持った中で、チームの構成を考えました」と説明。「勝つために何が必要かとなった時には、強度の高い練習、強度の高い練習するためにはそういった生活を送る習慣をプロとしての生活を送るという中で、小田切さんのサッカースタイルだったりとか、人間性も含めて、そういった意味で小田切さんに来ていただきました」と具体的な選定理由を語りました。
渡部博文社長も「富山時代にホームゲームの勝率もすごく高かった印象がありましたし、途中から入ってもしっかりとチーム作りができる監督だと思った」と評価。短期間でのチーム再建への期待を示しました。
”戦える集団、勝ちにこだわる集団”の構築
チーム作りについて、小田切監督は「まずは既存の選手がどれだけ残るかっていうのが1つあると思いますし、その中で戦える集団、勝ちにこだわる集団というのは、まずは作りあげないといけないかなというふうに考えています」と語り、選手との関係構築の重要性を強調しました。
”戦える集団”の具体的な内容について質問されると「日頃の練習からそこをどれだけ意識できるかで、ちょっとした1つの練習でもそこにこだわれるか。1つ言えば、本当に1歩、1m、1点っていうところにどれだけこだわれるか」と詳しく説明し、日々の積み重ねの大切さを訴えました。
山口という土地への思いと今後の抱負
初めて訪れた山口という土地について、小田切監督は「本当初めての土地。ただ、どことなく富山に似てるかなっていう印象です。山もあり、海もあり、街の雰囲気とか人口を見ても、130万人あたりとか、似てるのかなっていう印象は受けてます」と親近感を示しました。
趣味については、”食べ歩きとサウナ”と答え、特に寿司が好きだと語った監督は、「本当、美味しいものが多いっていう聞いてるので、すごく楽しみです」と山口での生活への期待も口にしました。選手との接し方については「自然体で。特別何か持ってるわけじゃないですけども、いつも真剣に、そして誠実に、選手と向き合っていきたい」とコメントを残しました。
クラブの長期ビジョンと監督への期待
渡辺社長は、クラブの期待として「まずは短期の目標でいく。J2の復帰、ただ復帰するだけではなく、その後成長性のある、中位、上位を狙えるようなチーム作り、基盤が必要だと思っています」と長期的なビジョンを示しました。
佐藤強化部長も「新たなレノファのスタートとして、監督を選定させて頂きました。躍動感っていうものは選手たちに求めたいですし、それを体現させるための選定になったと思います」と、新体制への期待を込めました。
ファンへメッセージ「なまぬるい試合をしたら私を批判して」
会見の最後に、小田切監督はファンに向けて力強いメッセージを送りました。
「簡単な戦いではないっていうのは、自分自身もわかっています。ただし、その目標達成する自信はありますし、山口最強を作り上げる、その意気込みで来シーズン指揮を取らせていただきます」
そして最も印象的だったのが「勝っても負けてもなまぬるい試合をしたら、どうぞ私を批判してください。ただ躍動感あるすごくすばらしい戦いをした時は選手を称えてあげてください」という言葉でした。最後に「山口県民、レノファ山口ファミリー全員の力で最短でJ2復帰しましょう。どうぞよろしくお願いいたします」と締めくくり、ファンやサポーターとの一体感を求める姿勢を強く打ち出しました。

WACOCA: People, Life, Style.