日本は、アジア太平洋地域において、ホテル投資およびM&Aについて最も選好され、かつ活発な市場としての地位を維持しており、上昇基調にある市場環境の下、2024年の取引額は1兆円(64億米ドル)に迫る記録的な水準となっています。
2025年はこの取引額を上回るとは見込まれていないものの、堅調な市場環境の下で、取引量はおおむね安定的に推移すると予想されています。
市場概況
Christopher Marc Hodgens
パートナー
渥美坂井法律事務所
日本でのホテル投資を推進する市場要因は多岐にわたり、国内投資家と海外投資家の双方にとって魅力的なものとなっています。
需要面ではインバウンド観光が引き続き成長しており、2024年に訪日客数が過去最高の3690万人に達したのに続き、2025年は4000万人超に達する見通しです。円安により、投資家および旅行者の双方にとって、日本は引き続き魅力ある場所となっています。
これらに加えて、宿泊需要の大部分を占める堅調な国内旅行需要が下支えしています。これと並行して、ホテルのADR(平均客室単価)およびRevPAR(販売可能客室1室あたり収益)は前例のないペースで上昇を続けており、ホテルの営業成績全般を改善するとともに、大きな投資リターンをもたらしています。
供給面では、建設費の高止まりによって新規ホテル開発は引き続き制約を受けており、特に東京、大阪、京都などの主要エリアにおいてその傾向が顕著です。
取引動向
木村 勇人
パートナー
渥美坂井法律事務所
過去数年では、2021年のBlackstoneによる近鉄グループホールディングスのホテル・ポートフォリオの取得、2022年のGICによる西武ホールディングスのホスピタリティおよびレジャー資産ポートフォリオの取得、2023年のSC Capital主導コンソーシアムによるダイワリゾートのホテル・ポートフォリオの取得など、大規模なポートフォリオ取引が見られました。
しかし、2024年および2025年の取引規模を主に牽引しているのは、単一資産を対象とするホテル取引です。
M&A取引
ホテルは、広くかつ正当に、不動産の一分類として位置づけられていますが、多くのホテル取引はM&Aを伴うか、またはM&Aを通じて実行されています。これは特に、当該会社が所有および/または運営する不動産資産の取得の一環として行われるか、またはそれとは独立して行われるかを問わず、ホテル運営会社の買収において顕著です。さらに、ホテルブランドを保有し、そのブランドの下で営業するホテルの運営またはサービス提供を行う会社の買収においても同様です。
基礎となる不動産の取得を伴わない主要なホテル運営会社の買収の代表例としては、2006年のインターコンチネンタル ホテルズ グループによるANAホテルズグループジャパンの持分の過半数取得があります。これにより、IHG・ANA・ホテルズグループジャパンという合弁会社が設立され、当時、日本で最大の国際的なホテル運営会社となりました。
もう一つ、ごく最近の日本の買い手によるホテルブランド買収の代表例としては、西武・プリンスホテルズワールドワイド(SPW)による、Ace Hotelsの親会社であるAce Group Internationalの買収が挙げられます。これにより、SPWはAce Hotelsブランドおよびその全世界での運営事業を取得しました。
単一資産取引
細川 昭子
パートナー
渥美坂井法律事務所
日本における単一資産のホテル取引は、しばしば、別個でありながら並行して行われる2つの取引として構成されます。一つはホテル不動産の売買に関する取引であり、もう一つはホテル運営事業体の株式の売買に関する取引です。
つまり、単一資産取引として分類されてはいるものの、ホテルの取得および売却は、不動産取引とM&A取引の組み合わせで行われることが多いということです。
これら単一資産取引を牽引する主な要因は、日本においてホテル不動産への投資および保有のために広く用いられている投資ストラクチャー、すなわちTMK(特定目的会社)および、合同会社が運営するGK-TK(匿名組合)です。
これら特定目的会社および匿名組合ストラクチャーは、これらが有する税務上のメリットにより、またノンリコースもしくは限定リコースファイナンスに適していることから、幅広い不動産投資に利用されています。さらに追加的なメリットを提供し得る信託との組み合わせで用いられることが多くあります。
しかしながら、これらはホテル不動産を保有するうえでは有利である一方、ホテル事業の運営が法的に禁止(特定目的会社の場合)、または制約を受けて(匿名組合ストラクチャーの場合)います。
そのため、ホテル投資家は、ホテル不動産を保有する事業体または信託銀行との間のマスターリース契約に基づき、ホテルを運営するための別個の事業体を設立しなければなりません。
その結果、ホテルを継続ベースで売却するためには、運営事業体の株式(資産譲渡は一般的には好まれない)と、基礎となる不動産の双方を買い手へ譲渡する必要があります。
Christopher Marc Hodgens氏、木村勇人氏(中央)、細川昭子氏は渥美坂井法律事務所のパートナーです。

Atsumi & Sakai
Fukoku Seimei Bldg.
2-2-2 Uchisaiwaicho
Chiyoda-ku, Tokyo 100-0011 Japan
www.aplawjapan.com
Contact details:
T: +81 03 5501 2111
E: christopher.hodgens@aplaw.jp
E: hayato.kimura@aplaw.jp
E: akiko.hosokawa@aplaw.jp

WACOCA: People, Life, Style.