アングル:ブラジルのコーヒー農家、気候変動でロブスタ種に移行

 ブラジル、サンパウロの流行の中心地オスカール・フレイレ通りにあるおしゃれなコーヒーショップで、バリスタが一風変わったエスプレッソを淹れている。写真はコーヒー農園で働く人。ブラジルのエスピリトサント州サンガブリエルダパリャで9月撮影。(2025年 ロイター/Alexandre Meneghini)

[サン・ドミンゴス・ド・ノルテ(ブラジル) 6日 ロイター] – ブラジル、サンパウロの流行の中心地オスカール・フレイレ通りにあるおしゃれなコーヒーショップで、バリスタが一風変わったエスプレッソを淹れている。クリーミーでカカオニブの香りを放つこの一杯は、最高級品種アラビカ種の特徴である酸味がない。

100%ロブスタ種の豆で入れた高級エスプレッソだからだ。ロブスタ種は長年、量を補うための安価な豆であり、インスタントコーヒーへの加工がお似合いだとして業界で嘲笑されてきた。

しかしコーヒーチェーン「サント・グラオ」の共同創業者マルコ・ケルクミースター氏は「0%アラビカ」という皮肉な名前がついたこの豆について「素晴らしいクレマを生み出すコーヒーだ。しかもチョコレートっぽい風味が非常に強い」と称賛した。

<農場に異変>

従来高級コーヒーに使用されてきたアラビカ種は、気候変動によって栽培が脅かされている。そうした中、ブラジルのロブスタ種農家は収穫・乾燥技術に投資し、最も要求の厳しい消費者をも魅了する最高級ロブスタ種の生産に取り組んでいる。

ブラジルはベトナムに次ぐ世界第2位のロブスタ種生産国であり、アラビカ種生産は世界最大だ。しかし2022年の研究によると、気温上昇と干ばつにより、ブラジルでアラビカ栽培に最も適した土地の4分の3以上が、50年までに栽培不適格となる可能性がある。

今年は貿易摩擦と異常気象の影響でコーヒー価格と消費量が過去最高を記録しており、高級ロブスタ種は焙煎業者にとって高価なアラビカ種をブレンドしたエスプレッソのコスト削減手段ともなっている。

エスピリトサント州でコーヒー農家を営むルーカス・ベンチュリムさんは、アラビカ種を生産する山岳地帯出身の父が「『ロブスタだからという理由だけで劣る』という言い分を決して受け入れなかった」と語る。ここから約805キロ離れたオスカール・フレイレ通りのカフェで供されていたのは、この農家の豆で淹れたエスプレッソだ。

世界のスペシャルティコーヒー基準を定めるスペシャルティコーヒー協会(SCA)も今年、アラビカ種とロブスタ種、両方の鑑定士を目指す人材にアピールするため、評価課程を改訂した。これにより、最高級コーヒーを評価する訓練を受けた鑑定士は、豆の種類や品種に関係なく、優れたコーヒーを評価できるようになった。

SCAは2026年、鑑定士が使う風味表現用語の改訂に着手し、高品質ロブスタに関連する特性を追加する。

<火から乾燥機へ>

こうした変化は、ブラジル産ロブスタ種の大半を生産するエスピリトサント州に変革の火を点けた。同州は今、収穫自体よりも品質を重視している。

ロイターが入手した州農業局の資料によると、同州はスペシャルティ・ロブスタ種の生産量を、現在の年間1万袋(60キロ入り)から、2032年までに同150万袋に大幅増加させる狙いだ。

ブラジル最大のロブスタ種協同組合、クーアブリエルの農業責任者ジョゼ・ホベルト・ゴンサウビス氏によると、かつて一部の生産者は火を使った間接的方法でロブスタ種を乾燥させていたが、クーアブリエルは農家に近代的な乾燥機の利点を指導している。火による乾燥は、煙や高温により味に悪影響を及ぼす可能性があった。

州の研究機関インカペルと連邦大学IFESの専門家によると、スペシャルティ品質認定を求めるロブスタ農家が急増している。

「かつてロブスタコーヒーは低品質と見なされていたが、その認識は変わりつつある」とエスピリトサント州スペシャルティ・コーヒー・センターのドグラス・ゴンザガ・デ・ソウザ調整官は語った。

ロブスタ種の栽培に挑戦するアラビカ種農家は増えている。エスピリトサント州農村開発次官のミシェル・テッシュは、この流れはほぼ一方通行だと述べた。

<価格急騰>

全国コーヒー輸出団体セカフェのマルシオ・フェレイラ代表は、ブラジル産ロブスタ種の品質向上は、需要増と価格高騰をもたらしたと説明する。

セカフェがロイターに提供したデータによると、今年10月までのブラジル産スペシャルティ・ロブスタの平均価格は1袋(60キロ)当たり295ドルを超え、2021年の平均価格の2倍以上に達した。

一方で、スペシャルティ・ロブスタはアラビカとの直接競合を試みてはいないと、コーヒー商社シュカフィナの生豆取引責任者、ジョーダン・フーパー氏は指摘する。

「スペシャルティ・ロブスタの当初のアプローチは、ある意味でスペシャルティ・アラビカと競合しようとするものだった。それが今では、ロブスタ自体が興味深い豆ということになっている」

サンパウロのカフェでコーヒーを淹れていたバリスタのナタリア・ラモス・ブラガさんは「特にブラジルでは、口当たりが豊かで苦い後味を持つコーヒーが好まれる。苦味とコクを求める人には、おあつらえ向きのコーヒーがある。ロブスタだ」と語った。

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Oliver Griffin

After five years with Reuters in Colombia and the Andes, Oliver is now based in Brazil’s São Paulo. He covers soft commodities including sugar, coffee, cocoa – among others – as well as some biofuels.

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