ワールドカップに2度出場した、かつてのストライカーがバルセロナに移住したのは今年4月。異境で語学学校に通う日々、何を思うのか。新たな道を生き、大いなる夢に挑む稀代の点取り屋を訪ねた。
朝もやの奥にバスの音が聞こえる。
バルセロナ行きのX95番の明かりが遠くから浮かびあがってくる。2kmほど先の地中海には朝陽がのぼりはじめたばかりで、簡素なバス停はまだ薄暗い。並んでいるのは通勤客に学生たち。車内は今日も混んでいるだろう。
大久保嘉人は乗車券を手に、見慣れた車内へと乗り込んでいった。
スペインへ移住してから8カ月がたった。大久保は現在、語学学校でスペイン語を学ぶ日々を過ごしている。自宅からバルセロナ市内の学校までは1時間ほどかかり、道が渋滞すれば、さらに15分ほど長い旅となる。
車で通うこともできるけれど、あえてバス通学をするのは、自分が学生であることを肌で感じるためだ。
「朝7時に起きて、自宅からバスでバルセロナに向かってます。バスはいつも遅れるから、それも計算して乗って。通学する学生も多いし、ほとんど座れない。立ってるのは、マジできついですね」
路線バスの中での日課がある。
乗車券をリーダーにかざし、最適のポジションをおさえると、周囲に耳を傾ける。日本とは違い、スペインは公共交通機関の中にも言葉があふれている。くだらない話をする学生に、なにやら政治について語る中年の通勤客。もちろんバルサやレアル・マドリーについての議論が聞こえてくることも多い。
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