同じ場所で生まれ、別々の道のりを経て、同じ場所にたどりついた。

西田優大、公陽、陽成の3兄弟は、Bリーグ史上初めて3兄弟が同時にコートに立つという快挙を成し遂げた。

実家はきゅうり農家。それにちなんで揃えた、”きゅうり色”の3足のバッシュがコートの中で輝いていた。

 

12月5日、6日にウィングアリーナ刈谷で行われたシーホース三河vs滋賀レイクスの2連戦。Game1は長男の優大と3歳下の次男・公陽が所属する三河が、三男でルーキーの陽成が在籍する滋賀に98-82で快勝した。 

三河の優大と滋賀の陽成がスターティング5に名を連ね、立ち上がりからマッチアップが実現し観客を沸かせる。日本代表としてワールドカップ予選を戦い、三河に戻ってきたばかりの優大は、決して調子が良かったわけではないが、要所でエースとしての存在感を発揮。弟・陽成の目の前で3Pシュートを叩き込んで、文字通りプロの壁として立ちはだかった。

 

さらに、残り1分、ファンが待つ望んだ瞬間が訪れた。公陽が兄と弟のいるコートにこの日初めて立ち、「3人でプロの舞台に立つ」という目標を達成した。

「両親の夢でもあったので、目の前でその瞬間を見せることができたことに一番嬉しさを感じています。両親だけではなく、中学校の恩師も来てくださっていて、その時の教えが今も生きていると感じるので、支えてきてくださった方、応援してくださる方に感謝の気持ちでプレーしました」(公陽)

 

 

翌日のGame2は雪辱に燃える滋賀・陽成が「Game1の第3Qのようなバスケを最初からできればと思って入りました。自分がそういうペースに持っていけるようなディフェンスをしたいと考えていました」と話したように、序盤から一進一退の展開が続いた。

どちらに転ぶか分からない展開の中、三河のエース・優大がビッグプレーを見せる。昨シーズンまで三河に所属したザック・オーガストの連続得点で2点差に迫られた第3Qの開始4分半、素早い切り替えで一気にゴールへ加速し、陽成にファウルを受けて床に倒れ込みながらもレイアップを決め切った。エースのワンプレーで勢いづいた三河は、ガードナー 、須田、長野、レイマンと4連続3Pシュートで畳み掛け、最終スコア105-80で大勝した。

陽成は「自分が甘かった。そういう隙をついてくるなと」と悔やんだ。優大は「プロの舞台なんでね、ちょっと気を抜くとやられちゃう。いい宿題になったんじゃないかな」とニヤリと笑った。

 

競演を終えた3人にそれぞれの現在地をあらためて聞いた。

陽成は「優大はまだまだ本当に手が届かないところにいる。一番違うと感じるのは、自分にはオフェンスでの技術が全然ないところ。どこでも点が取れるし、自分でゲームメイクもできる。そういうところをしっかりと学びたい。

公陽もプレータイムこそ少ないですけど、出た時はしっかりと仕事をしている。二人の活躍を見ると自分も負けてられないなという気持ちになります」と語る。

一方で、「強いていえば、シュートは2人に負けていない」とも。「この2試合では決められなかったですけど、3Pシュートは自分が3兄弟の中で一番うまいと思っているので、自信をもってやっていきたいです」。

プロ2年目、プレータイムを勝ち取るために日々もがいている次男の公陽は、「やっぱり兄弟なので負けたくないという思いはある。この2試合もあまりプレータイムをもらえなかったし、僕だけ得点を取れなかった悔しさはあります。

陽成がルーキーながらプレータイムがもらえていることがまずはすばらしい。この2試合もお兄ちゃんに負けたくないという気持ちがありながら、淡々とプレーしているところを見ると、(ルーキーだった)去年の僕はそこに至っていなかったのですごいなと思いつつも、まだまだ僕の方が上かなというのはありました」と兄のプライドをのぞかせた。

兄・優大に対しては、「陽成はシュートがうまくて、僕はドライブが強くて、その両方を持っているのが優大。追い抜くのは結構難しいなと思うんですけど、ちょっとずつちょっとずつ追いつけるようにしていきたい。三河に来た時よりは全然近づいていると思います」

 

弟2人にはほろ苦い2試合になったが、優大のここまで順風満帆に歩んできたわけではない。パリ五輪の落選、チャンピオンシップ2年連続でQF敗退と悔しさを糧に自らを磨いてきた。

「いろんな悔しさがあっていいし、大事なのはそれをどう次に繋げるか。そこでやめちゃえば終わりなので。公陽は間近で見ているので分かるんですけど、プレータイムが多くない中でもちゃんと準備し続けて、オフの日もコーチに頼んでワークアウトをしたりしている。いつか結果が出ればいいなと願っています。

陽成はルーキーシーズンでこれだけ試合に出してもらっていて、三河戦の前までは3Pシュートを40%くらいの確率で決めていて、結果を出していてすごいなと思う。

全部が全部うまくいったら面白くないので、その波も含めて楽しんでほしいです」

 

3兄弟が同時にプロの舞台に立つ。間違いなくBリーグの歴史に残る瞬間だが、3人にとってここは終着点ではない。

 

「ここからですよ。ここからが、始まりです」(公陽)

 

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