名品が語る 空の移ろい 国立工芸館「工芸と天気展」開幕

天気をキーワードに工芸の名品を紹介する工芸と天気展=金沢市出羽町の国立工芸館で

「ひと、能登、アート。」展も 天気をキーワードに工芸の魅力に迫る「工芸と天気展」が9日、金沢市出羽町の国立工芸館で始まった。人間国宝18人を含む、石川ゆかりの作家の約60点を並べる。能登の復興を支援する特別展「ひと、能登、アート。」(北陸中日新聞など後援)も同館で始まり、工芸の名品を紹介している。(小室亜希子)

 「工芸と天気展」は、北陸の移ろいやすい空模様に着目し、この地に生きる工芸作家たちがどのように天気に向き合い、作品に表現してきたのかを、同館の所蔵品からひもとく。

 第1章では、天気と密接に関わる工芸の技法と名品を紹介する。空気中の湿度で固まり、湿潤な気候が適する漆では、漆聖と呼ばれる松田権六の「蒔絵鷺文(まきえさぎもん)飾箱」などを展示。九谷焼の色彩に重く暗い冬の天候を感じ取った富本憲吉の磁器作品や、かつて真冬の川で染料やのりを洗い流した加賀友禅の名品も並ぶ。

 第2章では天気を表現した名品を紹介。七尾市出身の漆芸家番浦省吾の「双象(そうしょう)」は、雲と水の不定形な形を色漆や高純度のアルミ箔(はく)で表現した。番浦の「海どり」も出品され、2点並ぶのは2020年の館移転後初めて。ベージュの白漆の地に紅白の梅が卵殻で描かれた寺井直次の「金胎蒔絵水指 春」など、春のぬくもりを感じる作品もある。

 「ひと、能登、アート。」展には東京の11の美術館や博物館から国宝1件、重要文化財(重文)6件を含む計28件を出品する。教科書でおなじみの重文「遮光器土偶」(東京国立博物館蔵)、富山県氷見市で出土した「深鉢形土器」(東京大総合研究博物館蔵)、珠洲焼との関連が指摘される国宝「秋草文壺」(慶応義塾蔵)などがある。

 いずれも来年3月1日まで。午前9時半〜午後5時半(入館は閉館の30分前まで)。月曜休館。「工芸と天気展」は一般1200円、大学生700円、高校生500円。「ひと、能登、アート。」展は工芸と天気展の観覧券で鑑賞できる。

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