
色紙を手に記念撮影する森田
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早大は9日、都内でア式蹴球部の男女プロ内定選手の会見を行った。J3長野に加入するMF森田大智(22)は「覚悟」と色紙に記し、「チームとしても個人としても、上に上がるしかない。1年目から試合に出て、自分がJ2、J1に上げるんだという強い覚悟でやりたい」と決意を新たにした。
どん底からのスタートだった。熊本・大津高3年時の全国高校選手権。主将を務め、同校初の決勝進出に導いた。背番号10を背負い、巧みなボールさばきで周囲を魅了するボランチだった。しかし、国立競技場で臨んだ決勝はMF松木玖生らを擁した青森山田に0―4で完敗した。「衝撃を受けた。あそこまでやられると思っていなかったし、自信をなくすきっかけになった。一番後悔している試合」。大学入学後は「一番下のチームでも出られなかった」というほど思い悩んだ。
転機は2年時。現在もチームを率いる兵藤監督が就任すると、一気にトップチームにまで昇格した。ケガもあって右肩上がりとはいかなかったが、少しずつ歯車がかみ合い始めた。「苦しい時期も腐ることはなかった。今まではある程度うまくいっていたので、こういう時期もあるだろうなって」。何よりも原動力になったのが、苦い記憶として刻まれた高校最後の試合。「ああいう舞台でもう一回サッカーをやりたいと思って、4年間頑張れた」と言う。
定位置をつかんだのは4年になってから。プロ一本に絞った進路は思い通りに決まらず焦りもあったが、11月中旬に練習参加した長野からオファーが届いた。「もし決まったらめっちゃうれしいだろうなって思ってたんですけど、でもそんなこともなくて。やっとスタートラインに立てたなって。落ち着いていた方だと思う」。森田にとっては紆余(うよ)曲折の末にたどり着いた、一つの通過点だった。
大津高の同期にはGK佐藤瑠星(筑波大→浦和内定)、DF日髙華杜(法大→清水内定)、DF薬師田澪(法大→熊本内定)と先にプロ入りを決めた3人がいる。「刺激をもらっていたし、絶対に負けたくない気持ちがある。上の舞台で、みんなで試合ができたらうれしい」。大観衆の前で、今度はスポットライトを浴びる。そんな日が来ることを願って、次のステージに旅立つ。
◇森田 大智(もりた・だいち)2003年(平15)6月18日生まれ、熊本県天草市出身の22歳。ディラネーロ天草、FCKマリーゴールド天草、JFAアカデミー熊本宇城、大津高を経て早大に進学。目標の選手はスペイン代表MFペドリ(バルセロナ)。1メートル70、60キロ。利き足は右。

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