米国と新安全保障戦略で決裂する必要ない=独情報機関トップ

 ドイツの情報機関、連邦憲法擁護庁のシナン・セレン長官(写真)は8日のベルリンでのイベントで、旧世界の「文明的な消滅」を警告した米国の新たな安全保障戦略を巡って欧州と米国の間で決裂する必要はないと訴えた。ベルリンで9月撮影(2025年 ロイター/Annegret Hilse)

[ベルリン 8日 ロイター] – ドイツの情報機関、連邦憲法擁護庁のシナン・セレン長官は8日のベルリンでのイベントで、旧世界の「文明的な消滅」を警告した米国の新たな安全保障戦略を巡って欧州と米国の間で決裂する必要はないと訴えた。

トランプ米政権は先週発表したこの文書で、戦後の欧米の緊密な関係という前提を覆し、防衛面で米国に過度に依存し続けているとして欧州諸国を厳しく批判した。

ロイターは5日、米国が欧州に対し、情報からミサイルに至るまで北大西洋条約機構(NATO)の通常防衛能力の大部分を2027年までに引き継ぐよう求めていると報じた。

セレン氏は「米国のこのような戦略からわれわれが米国と決裂すべきだという結論を導かないだろう」とし、「われわれのパートナーがわれわれと決裂するとも思わない」と発言。さらに、「しかしながら重要な点は、われわれが当然ながら同盟を継続的に見直し、さらに発展させる必要があるということだ。特に欧州内のネットワーク強化に当てはまる」と述べた。

セレン氏は欧州が安全保障構造を含めて全体としてより自立的になる必要があるとし、米国の技術に対する依存に対する懸念にも言及。一例として欧州は米中央情報局(CIA)が支援するパランティア・テクノロジーズの犯罪捜査ソフトウエアの「代替製品を生産できなければならない」とし、地政学的な観点を考慮して最適な解決策を選ぶことができると語った。

セレン氏は「欧州はこうしたことができる産業や企業がある。彼らはたぶん、もっと支援が必要なだけなのだ」との考えを示した。

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Sarah Marsh

Chief correspondent covering political and general news in Germany with experience in Argentina and in Cuba leading Reuters’ broader Caribbean coverage.

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