
脳の白質を走る神経線維に色を付けた拡散テンソル画像。この線維に沿った水の移動を追跡することで、年齢とともに脳の配線がどのように強化、変化、劣化するかを地図化できる。(MARK AND MARY STEVENS NEUROIMAGING AND INFORMATICS INSTITUTE/SCIENCE PHOTO LIBRARY)
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加齢とともに私たちの脳が変化することはよく知られている。言語を学ぶにしても、新しい技術を習得するにしても、脳神経回路の新たなつながりの築きやすさは、一生の間に変化する。しかし最新の研究で、その変化がどれほど劇的で法則性があるかが明らかにされた。
英ケンブリッジ大学が発表した論文によると、人間の脳の発達は一生のうちに5つのはっきりと異なる段階を経るという。そして、各段階を区切る4つの転換点が、9、32、66、83歳頃に訪れる。つまり、これら4つの時期が節目となり、脳が自らを再配線する仕方が変わるのだ。(参考記事:「【解説】老化は44歳と60歳で急に進むと判明、何がどう変わる?」)
「人生の異なる時点で、脳は別のことをするよう求められます」と、ケンブリッジ大学の研究員で論文の筆頭著者であるアレクサ・モズリー氏は言う。「脳の発達は少しずつ直線的に起こるわけではないということです」
これらの段階を詳しく明らかにするため、研究者たちは約4000人の脳スキャンデータを分析し、ミエリン(神経線維を包む脂肪の膜で、電気信号の伝達を速める)と、神経線維に沿って移動する水の動きを特定した。それによって、異なる領域がどのようにつながっているかがわかる。「ミエリンは基本的に絶縁体で、伝達を速くしているのです」とモズリー氏は補足する。(参考記事:「マラソンをすると脳が激変すると判明、驚きの柔軟性、高齢者にも」)
0歳から90歳までの人々のデータを分析することで、脳の伝達経路の強化や安定化、そして劣化が、法則性をもって起こっていると明らかになった。この法則性は、なぜ特定の精神的な健康問題が人生の決まった時期に起こりやすいのかを理解する助けとなり、認知能力を評価する際の指標にもなるかもしれない。
ここでは、4つの節目で分けられるそれぞれの段階で脳に何が起こっているのかを解説しよう。(参考記事:「脳が衰えない“スーパーエイジャー”の謎が判明、性格に共通点」)
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