米Meta Platformsは、Facebook、Instagramなど、集客力の高いSNSを開発し、広告ビジネスを拡大させてきた。ただ、近年は著名人を偽装した違法な広告を代表とする詐欺広告問題が浮上し、消費者、広告主間で懸念が広がっている。「ChatGPT」や「Gemini」といった対話型AIが台頭する中で、AIと消費者の接点を新たに築く必要もある。Metaの広告営業を統括するグローバルビジネスグループ責任者ニコラ・メンデルソン氏にAI時代の戦略を聞いた。取材では、スマートフォンに替わる新たな生活接点である「Meta AIグラス」を、2026年に日本で発売することを初めて明かした。

プラットフォーマー間のAI開発競争が熾烈(しれつ)になっている。広告のAI機能、消費者との接点となるAIサービスをどう開発していくのか。たびたび話題となる詐欺広告問題への対策などを、Metaの広告営業を統括するグローバルビジネスグループ責任者ニコラ・メンデルソン氏に聞いた
現在、広告業界はAI(人工知能)時代の覇権をめぐる争いの真っただ中だ。舞台の1つが消費者との新たな接点となる対話型AIの開発である。米OpenAIの「Chat(チャット)GPT」や米Google(グーグル)の「Gemini(ジェミニ)」が先行して、利用者を拡大している。
他プラットフォーマーも負けじと開発に乗り出す。米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)が「Rufus(ルーファス)」、米Meta Platformsも「Meta AI」の開発を進めており、各社がAI時代においても集客力を持ったプラットフォーマーであり続けようと競争している。
もう1つの側面が、広告主向けのAI機能の強化だ。広告配信を自動で最適化するAI機能の拡充はもちろん、最近では画像や動画を中心としたクリエイティブ生成の領域が大きな競争の舞台となっている。特に、Googleの「Nano Banana」「Veo」シリーズやOpen AIの「Sora」シリーズは、アップデートのたびにクリエイターの間で話題を呼んでいる。
これらと比べると、日本国内においてMetaのAI機能が注目を浴びる機会は少ない。だが、2025年11月25日にMeta AIの日本国内への段階的な導入を開始するなど、新たな動きも見せ始めている。MetaはAI時代にどういった戦略を描くのか。Metaの広告営業を統括するグローバルビジネスグループ責任者ニコラ・メンデルソン氏に聞いた。
この記事の流れ
AIはマーケティングをどう変えるのか
26年にAIグラスが日本上陸
クリエイティブ制作へのAI活用はどう進めていくのか
懸念が広がる詐欺広告にはどう対応するのか
AIはマーケティングをどう変えるのか
――AIはマーケティングどう変えるか。マーケターが注視しておくべきポイントは何だと考えるか。
ニコラ・メンデルソン氏(以下、メンデルソン) MetaにとってAIはすべての中心になっている。消費者からすると、自分にとって関わりのあるコンテンツを表示するために、AIを活用している。この1年で、AIを駆使することで、Facebookの滞在時間は5%、Threadsでは10%伸びている。
広告では、(AIを活用して広告運用を自動で最適化する)「Advantage+ 」機能に代表されるように、すべてにおいてAIが後ろ盾になっている。ROAS(広告の費用対効果)の観点で言うと、アジア太平洋地域では、1ドルの広告投資に対して、4.13倍のリターンが得られることが、我々の調査で分かった。
この数字は、グローバルの平均よりも高い。コストをなるべく抑えて、ターゲットとしているオーディエンスに対して、効果的にリーチできている。

アジア太平洋地域では特に、Meta広告のROASが高い傾向にあるとメンデルソン氏は語る
――広告主としては配信ロジックの精度が高まっていることが、最も影響が大きいということか。
メンデルソン その通りだ。ターゲティング精度が高まることで、コンバージョンによりつながりやすくなる。それが低い費用で実現できる。加えて、クリエイティブ制作にもAIを活用している。テキストや背景の変更、動画の生成、翻訳もAIでできる。
――広告の配信精度を高める上では、集客力の強い広告配信面を用意することが重要になる。ChatGPTやGeminiなど、対話型AIの利用が拡大しているが、Metaは消費者とAIの接点をどのようにつくろうとしているか。
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