豪州、AI工程表を発表 規制強化は見送り

2025年4月29日、オーストラリアのシドニーにある中央ビジネス地区(CBD)とバランガルー地区のスカイライン。REUTERS/Hollie Adams

[シドニー 2日 ロイター] – オーストラリア政府は2日、国内経済への人工知能(AI)の導入を加速するためのロードマップ(工程表)を公表した。

AIのリスクへの対応については、従来の法令を活用する方針を示した。これまでは高リスクシナリオに対応する規制強化を計画していた。

同国にはAIに特化した法律はないが、政府は昨年、プライバシー、安全性、透明性に対する懸念を踏まえ、自主的なガイドラインを導入する方針を示唆していた。

政府は、今回公表した「国家AI計画」で、先端データセンターへの投資誘致、雇用の支援・保護に向けたAIスキルの育成、日常生活へのAI浸透を見据えた安全確保を重視する方針を表明。

「AIへの規制アプローチは、今後も既存の強固な法規制の枠組みに基づいて発展させる。既存の法律がAI関連リスクへの対応の土台であり続ける」と説明した。

各省庁や規制当局が、それぞれの分野でAI関連の潜在的な弊害を特定・管理する責任を持つとした。

エアーズ産業相は、イノベーションとリスク管理のバランスを保ちながら、国民が新技術の恩恵を享受できる体制を整えることが目的だと表明した。

ただ、オーストラリア・カトリック大学のニウシャ・シャフィアバディ准教授は、今回のAIロードマップには重大な欠落があると指摘。

「データの活用や生産性の向上については野心的だが、説明責任、主権、持続可能性、民主的な監視という点で重要な欠落がある」とし「こうした課題が解決されなければ、効率的ではあっても公平性や信頼性を欠くAI経済が形成されるリスクがある」と述べた。

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